君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
忘れられないクリスマス
奏side.
ダンッダンッ、バンッ
「どーした、浮かない顔してんぞ」
体育館の壁に背中を預けて座っていた俺の横に勇也が腰を下ろした。
部活の休憩中もボールを触ってるやつらをぼーっと眺めていた。
「んー?どーもしてねーよ?」
ペットボトルの蓋を開けて、水を喉に流し込んだ。
「もうすぐだな。緊張してんの?・・・それとも、鈴ちゃんのことか」
「・・・緊張はない。寧ろ、楽しみだし。・・・・・・・・・そうだな、鈴だな」
窓が閉まってるからか、吹奏楽部の音が遠くに聴こえる。
「2ヶ月なんてあっという間だろ。蘭もついてるし、まぁ俺もいるし、心配すんな」
「・・・そうだな、それはありがてぇわ。マジで変な虫つかねーように頼むわ」
「フッ、お前の悩みはいつも鈴ちゃんのことだな。昔から」
「こんな離れるとか初めてだから、俺がいなくなると思うとこえーんだよ。今まで俺が牽制してきたようなもんだし。・・・長谷部には全く効いてねーけどな。・・・最近、鈴のやつ益々可愛くなってるし。あーー、2ヶ月触れられないのもつれー」
天井を見上げ、ライトの眩しさに目を閉じる。