君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「鈴、かわいいじゃない。楽しんでおいでね」
リビングでコーヒーを飲んでいたお母さんが、私を見て微笑んだ。
「うんっ。ありがとう。行ってくるね!」
今日は、クリスマスイヴ。
奏がアメリカに行ってしまう前の最後のデートをする日。
赤のニットに、グレーの膝上フレアスカート、寒さ対策で黒タイツに脚が綺麗に見えるお気に入りの黒のアンクルブーツを履いて、白のファーコートを羽織ったクリスマスを意識したコーデにしてみた。
髪もふわっと巻いて、メイクもいつもより頑張ったつもり。
お母さんが可愛いって言ってくれて、るんるんで玄関を出る。
奏とはマンションのエントランスで待ち合わせしている。
隣同士だから玄関から一緒に行けばいい話だけど、ちょっとでも待ち合わせぽくしたくて、先に降りてもらってたんだ。