君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
ポンッ
エレベーターが1階について扉が開く。
コツコツとヒールの音が響いて、エントランスのソファに座っていた奏が振り向き、立ち上がった。
「お待たせ」
「おう。・・・今日の鈴、すげーかわいい」
そう言って目を細める奏の顔がほんのり赤い気がした。
「ふふ、嬉しいっ、ありがとう。奏もカッコいいね」
白トレーナーに、グレーのスラックスを履いて黒のダウンを合わせたシンプルなコーデだけど、背の高い奏にとても似合っている。
「ありがと。俺はいつもと変わんねぇけどな。じゃ、行くか」
少し照れくさそうに頬を緩ませ、私の手を握って歩き出す。
自然と指が絡んだ手を私もキュッと握り返し、一緒にマンションを出た。