君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「あ、お皿とかありがとう。なんか昔と変わったなあと思って」
「だいぶ久しぶりだもんな。鈴が俺の部屋に来たの」
「うん、中学生以来?じゃないかな。ね、ケーキ開けていい?」
「いいよ。食べよーぜ」
私がケーキの箱を開ける横で、奏がコップにサイダーを注いでくれた。
シュワシュワと炭酸の弾ける音と、ケーキの甘い香りが漂う。
「はい、じゃあ乾杯するか?」
「うんっ、メリークリスマス!」
「メリークリスマス」
カチンッと硝子のコップが鳴った。
「このケーキ美味しいねっ。奏のも一口貰っていい?」
「はい、どーぞ」
「やった、ありがとう。んー!美味しい。私のも食べていいよ」
「ん。じゃあ、貰うわ」
せっかくだから口に運んであげようと思って、自分のケーキに手をつけようとしたら、私の右手はケーキにたどり着くことなく、真横にグイッと引かれた。