君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
もどかしい距離
月曜日。
奏は昼の便でアメリカに発った。
平日だから学校がある私は見送りには行けず、昨日の夜、直接奏の家に行って「いってらっしゃい」と「頑張ってね」を伝えてきた。
「すーず。奏はもう飛行機乗った頃?」
お弁当を食べ終わって携帯を見ていた私に、蘭ちゃんが声をかけてくれた。
「うん。さっき行ってきますってメッセージきたよ」
「そっか。クリスマスは楽しめた?」
「うん!すっごく幸せだったよ」
「あらー、よかったじゃない。こっちまで幸せになれるわよ、その笑顔」
まだまだ余韻に浸れるくらい鮮明に思い出せる、奏のぬくもり。
制服のシャツの下にはリングネックレスが隠れている。