君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「鈴・・・、優さんから連絡があったの」
「え!なんて?」
「奏くんが、・・・事故に遭って、入院してるって」
「え・・・」
「命に別状はないそうよ。今は安静が必要みたいで、奏くんからはまだ連絡ができない状態みたい。優ちゃんたちも奏くんの所にいるって、心配しないでって、また落ち着いたら連絡するって言ってたわ」
命に別状はない・・・
連絡ができない状態・・・
衝撃を受けて、頭が混乱している。
奏が、事故・・・?
自分の手が少し震えているのがわかる。
「お母さん・・・大丈夫なんだよね?」
「・・・・・・詳しい状況はお母さんもわからないの。優ちゃんも慣れないところで大変だと思うから、これ以上聞けなくてね。・・・心配よね・・・。でも、優ちゃんも心配しないでって言ってたし、奏くんならきっと大丈夫よ。信じて、連絡を待ちましょう」
「・・・・・・うん・・・そうだね」
お母さんの言葉に心ここに在らずで返事したと思う。
今すぐ奏のところへ行きたい。
顔が見たい。声が聴きたい。
大丈夫だって、安心したい。
・・・でもそれは叶わない。
その日の夜は一睡もできなかった。