君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
ブブッ
スマホが震えて慌てて画面を見る。
SNSの通知で小さいため息を吐き、肩を落とす。
もう数えきれない程これを繰り返している。
奏が事故に遭ったと聞いてから3日は経ったが、奏本人からの連絡は来ないし、お母さんにも優さんから新たな連絡はない。
「鈴、少しは食べな?」
「うん・・・お腹が空かなくて」
「鈴ちゃんが好きなもんでも食べに行くか?次の休み、3人で」
蘭ちゃんと勇也くんが心配していつも一緒にいてくれている。
すごく救われているけど、ふたりの邪魔をしてしまっている気がして申し訳なさを感じる。
バスケ部の顧問の先生から、奏が留学先で事故に遭って入院中だとバスケ部には伝えられたらしい。
それから誰かが話したのだろう、奏のことはあっという間に広まって、クラスの担任から聞かされる頃にはもうみんな知っている状態だった。
みんな大丈夫なのかと先生に聞くが、命に別状はなく、治療中ということだけ。
それ以上、詳しい情報は先生にも入っていない様子だった。