君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
私たちは、終わったんだ。
本当に終わったんだ。
そして今、優さんが最後の挨拶に来ていることで、私と奏の関係は完全に絶たれるのだろう・・・。
「優さん・・・、私、奏のことが好きです。奏がもう、私のことなんとも思ってなくても、私はたぶん・・・いや、これからもずっと奏のことが大好きです。どんな時も、私は奏のこと応援してます。だから、優さんも謝らないでください」
優さんに伝えたところで、どうにもならないことはわかっている。
それでも、奏への想いを口にするのは最後だと思ってはっきり伝えた。
「鈴ちゃん・・・」
優さんの瞳が微かに揺れて潤んでいるのがわかった。
「・・・優ちゃん、そろそろ飛行機の時間よね?」
お母さんが優しく声をかけた。
「・・・そうね。・・・鈴ちゃん、ありがとう。鈴ちゃんも、もうすぐコンクールなのよね。直接聴きに行きたかったけど、行けなくて残念だわ・・・。でも、動画配信されるって聞いたから、それを楽しみにしてるわね。・・・がんばって、私も鈴ちゃんのこと応援してるから」
その言葉を最後に、優さんはアメリカへ帰って行った。