君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
今日のコンクールの様子はネット配信もされるから、優さんが見てくれると言っていた。
ということは、もしかしたら、奏も見てくれるかもしれない・・・。
淡い期待を抱きながら、私は画面越しの貴方へ向けて、自分の音に想いを込めた。
「鈴、おつかれさま」
荷物を持って、会場のエントランスホールへ出るとお母さんが待っていた。お父さんも観に来てくれていたようだが、時間の都合上、次の仕事に行ってしまったみたいだ。
「お母さん・・・」
お母さんの顔を見た瞬間、緊張の糸が解けたのか目頭が一気に熱くなる。
それに気づいたお母さんが、優しく抱きしめてくれた。