君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「奏、何回目の不法侵入?」
「俺は結帆さんから鍵もらってるし、法は犯してないんですよ」
「・・・いい加減返してくれない?鍵」
「やだね」
この何度やっているかわからないやり取りの相手は、隣の部屋に住んでいる幼なじみの
水瀬奏(ミナセ ソウ)。
親同士も仲が良くて、私の母(華山結帆)が合鍵まで渡しちゃっているから、こうやって勝手に私の部屋に入ってきてはベッドを占領している。
「こんなに天気の良い休みなのに、彼女とデートしなくていいの?」
「日曜のこの時間は、愛しの鈴ちゃんの演奏を聴くという任務がありますから」
「・・・なんなの、その任務。それに"愛しの"とかやめてくれる?・・・彼女いるのに」
奏はイケメンでモテる。
芸能人と言われても違和感はない。180センチはある身長に、程よい筋肉のついた細マッチョで誰もが一度は見惚れる容姿だ。
中学までは告白されても、全く彼女をつくらなかったのに、高校に入ったある時から彼女ができたと言ってきた。