君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
奏side.
♪〜♪〜
イヤホンから聴こえてくる聴き慣れた音。
画面の中で、堂々と優雅に音を奏でる愛しい人の姿を、目に焼き付けるかのように見つめる。
最後にTV電話をしてから約1ヶ月、画面に映る鈴は少し痩せた気がした。
その原因が少なからず自分にもあることは自惚ではないだろう。
演奏を終えて、正面を向いて少し微笑んだ鈴と画面越しに目が合う。
「っ、」
胸がギュッと締め付けられる。
今すぐこの腕で抱きしめたい。
そんな願いは叶うはずもなく、鈴は頭を下げるとステージ袖へはけていった。