君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
『奏・・・よかった・・・。体は大丈夫なの?』
その言葉で自分の体に意識が向くと、一気に現実に引き戻された。
動かせない足。
「歩けなくなった」なんて言ったら、鈴はどんな反応する?どう思う?
俺を嫌いになる?
そんな俺はいらないって言う?
いや・・・鈴はそんなこと言わないだろうな。
自惚れじゃないけど、たぶん何も変わらず隣にいてくれるんだろうな。
『よかった・・・本当に、よかった・・・ほんとにほんとに心配したっ』
ほら、今もこうやって声を震わせて。
俺はこれから、どれだけ鈴を泣かせることになるんだろう。
想像できたのは、鈴の笑顔より、戸惑った顔や泣き顔だった。
やっと長年の想いが実ったところだったのに。
まだ付き合ったばっかだぞ。
ふざけんなよ・・・。
これから一生、俺が鈴を笑わせるって、幸せにするって思ってたのに。
もう俺にはそれができない。
普通の幸せがあげられない・・・