君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
気づいたら俺は、別れを口にしていた。
こっちでバスケするからって、それすらもできないのに。
なんだ、その理由。自分に呆れる。
別れたくないと言う鈴に、何度も本音を言いたくなった。
別れたいわけないだろ。
俺は鈴しか無理なんだから。
鈴以外好きになれねーし、なりたいとも思わない。好きになれる気もしない。
ずっと、これからもお前だけだよ。
そんな本心とは裏腹に、俺の口はしっかりと別れを告げていた。
鈴が最後に言った「わかった」がまだ耳に残ってる。
スマホの画面が真っ暗になったのをぼーっと見つめる。
数分経っただろうか、メッセージの通知が来て画面が光る。
『私たち、本当に終わったの?』
鼻の奥がツーンとして、胸が締め付けられた。
画面に水滴がぽたぽた落ちて、スマホを持つ手が小刻みに震える。
『うん。幸せになれよ』
俺は、最愛の人を自ら手放した。