君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「鈴、卒業おめでとう」
先に沈黙を破ったのは、久しぶりに聞く大好きな声だった。
ドキンドキンと心臓大きく脈打ち出す。
それを落ち着かせるように、首からぶら下がるリングをぎゅっと掴んだ。
「あ、ありがとう」
「フッ、緊張してる?」
「え、いや・・・うん、してる、かも」
「ハハ、俺も。・・・久しぶりだな」
「うん・・・一年ぶり?かな」
会話のぎこちなさが、この一年を物語っていた。
「・・・さっきの話だけど、足のこと、ずっと黙っててごめんな」
「うん・・・」
「俺が、弱かったんだ。歩けなくなって自棄になってた。こんな俺じゃ鈴を幸せにできないって・・・。あの時は鈴の気持ちも考えずに、一方的だった・・・本当ごめん」