君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜


あの時、奏も私以上にとてつもなく苦しんだんだろう。


歩けなくなって、大好きなバスケもできなくなって、夢も見失って・・・


どれだけ自分を責めたんだろう。


私がもし奏だったら、同じ様に別れることを選んだかもしれない。


奏の苦しみは計り知れなくて、振られたことを責めようなんてこれっぽっちも思えなかった。


「ううん。奏が決めたことだから。・・・それより、今は?手術がうまくいったって言ってたけど」


「うん、全く動かせなかったのが、手術を受けて動かせるようになったんだ。それで今、リハビリで歩く訓練をしてるよ。全く歩けてなかった分、筋力もだいぶ落ちてるし、歩けるようにはまだ時間がかかりそうだけど、俺、今、めちゃくちゃ嬉しいんだ」


「そっか・・・よかった・・・。良くなってるんだね」


ずいぶん明るくなった声色からもそれが感じ取れる。

< 223 / 268 >

この作品をシェア

pagetop