君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
あの時、奏も私以上にとてつもなく苦しんだんだろう。
歩けなくなって、大好きなバスケもできなくなって、夢も見失って・・・
どれだけ自分を責めたんだろう。
私がもし奏だったら、同じ様に別れることを選んだかもしれない。
奏の苦しみは計り知れなくて、振られたことを責めようなんてこれっぽっちも思えなかった。
「ううん。奏が決めたことだから。・・・それより、今は?手術がうまくいったって言ってたけど」
「うん、全く動かせなかったのが、手術を受けて動かせるようになったんだ。それで今、リハビリで歩く訓練をしてるよ。全く歩けてなかった分、筋力もだいぶ落ちてるし、歩けるようにはまだ時間がかかりそうだけど、俺、今、めちゃくちゃ嬉しいんだ」
「そっか・・・よかった・・・。良くなってるんだね」
ずいぶん明るくなった声色からもそれが感じ取れる。