君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「うん。情け無いけど、手術受けるまでは正直、歩くことを諦めそうになることもあったんだ。それで、鈴に連絡したくても、自分から振ったてのもあるし、連絡する勇気もなくてさ。でも今、実際に動く様になった足を見て、歩けるかもしれないって前向きになれて、そしたら鈴と話したいって思った。・・・今日は卒業おめでとうって、ちゃんと自分の口から言いたかったんだ」
「そうだったんだね、・・・ありがとう」
素直に嬉しいと思った。
奏の中に、ちゃんと私はいたんだ。
それがどうしようもなく嬉しかった。
「鈴、・・・まだ俺の足は動くようになったばっかで、歩けるわけじゃない。歩けるようになるまでどれだけ時間がかかるかもわからない。でも俺は、絶対歩けるようになって、鈴にまた気持ちを伝えに行きたいって思ってる。また勝手なことを言ってるのもわかってる。でも、待ってて欲しい。絶対、歩いて帰るから」
『あ、飛行機は使うけど』と小声で付け足した。
ふふ。
あーもう、私、幸せものだな。
「うん。待ってる。だから、絶対帰ってきてね、奏」