君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「華山しか頼めるやついなくてさ、人助けだと思ってやってくれね?」
うぅ〜、そんなふうに言われると・・・断れないよ・・・。
たった今助けてもらったばっかりだし・・・。
「フリって、どうすればいいの?」
「大学で時間ある時に一緒にいたり、一緒に帰ったり、聞かれたら付き合ってるって言えば信じてもらえるだろ。それ以上は何もしなくていいから」
うーん。それだけなら、大丈夫かな・・・
少しの間だけだよね。
「わかった。じゃあ・・・それで、よろしくお願いします」
「サンキュ、助かるわ。滝には本当のこと話しといて大丈夫だから」
それから十也くんは、結局マンションの前まで送ってくれて帰って行った。
こんなこと、奏に言えないよね。
隠し事したいわけじゃない、でも、わざわざ言うことでもないよね・・・。
はぁ。
やましい事してるわけではないが、罪悪感に苛まれていた。
あの卒業式から2ヶ月経ってもうすぐ6月に入る。
あれから奏とは、毎日ではないが、たまに連絡をとっている。
奏はまだ、遠く離れたアメリカで毎日リハビリを頑張っているし、余計な心配はかけたくないと思った。
だから、このことは黙っていることにした。