君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「蘭ちゃんは、いつもカッコいいな・・・。蘭ちゃんみたいになりたい」
学食で人気No2のラーメンのスープをかき混ぜながら、そんなことを口にしていた。
「何言ってるの?私はいつも、鈴のこと羨ましいと思ってるわよ」
「え、そうなの?」
「そうよ。私に無い、純粋でまっすぐで、可愛すぎるくらい可愛いところ。私には絶対に真似できないんだから。鈴の、鈴だけの良さはちゃんとあるのよ?みんな無いものねだりしちゃうだけなんだから、そんな気にしないの」
「そうなのかな・・・」
「そうなの!グズグズしてると、私がその麺食べちゃうわよ!」
「あっ、それはダメっ、はは」
蘭ちゃんパワーに押されて、いつのまにか笑っていた。
いつもそうだ。蘭ちゃんを前にすると、自分の悩みなんてちっぽけに感じてしまうんだ。
いつまでもウジウジしてたって良いことないし、十也くんにも失礼だ。
私もいつも通りでいよう、ラーメンを食べ終わる頃にはそう思えていた。