君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
プログラムは順調に進み、休憩を挟んでアンサンブルとソロ演奏に移る。
私は控え室でカラードレスに着替えていた。
「すず〜すごい可愛いねっ、そのドレス。似合ってる。大人っぽさもあるし、さすが、鈴のママ」
「ありがとうっ。蘭ちゃんが言ったら、お母さんも喜ぶよ」
お母さんが用意してくれたのは、シルバーブルーのホルターネックドレス。チュールにはグリッターがあしらわれていて、動くとキラキラと輝き、幻想的な雰囲気が漂う。
「後で写真撮ろうよ。アイツに送りつけてやろ」
「はは、そうだね」
いつもと違うドレスアップをすると、やっぱり奏に見て欲しいなって思う。
最後にこういう格好を見てもらったのは、高校の文化祭か。懐かしいなぁ。
ドレス姿でカメラマンたちから逃げ回って、奏と一緒に逃げ込んだ空き教室でのひとときは、今でも忘れない。