君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
さっきまで150名がいた舞台に、ピアノ伴奏者と、真ん中に私一人で立つ。
眩しいライトで照らされ、観客席は奥の方は暗くハッキリと見えないためまだ気が紛れるが、容易に満席を確信できる拍手の音で、緊張が高まる。
ドキドキと心臓が、大きく速く脈打つ。
フーッとわからないように長めの息を吐き、心を落ち着かせ、フルートを構えた。
優しいピアノ伴奏に合わせて息を吹き込む。
今まで、素晴らしい演奏だったと言われるときは、いつも奏のことを思い浮かべていた。
そうすると、心が解れてあたたかくなるから。
だから今日も私は、君への想いを、この音にのせる。
遠くにいる君にも、どうか届きますように・・・
奏が、幸せでありますように・・・