君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
どれくらい抱き合っていたのかわからない。
私たちの家族以外の視線も集めていたのかもしれないけれど、全く気にならなかった。
奏に手を引かれて階段を降りる。
繋がれた手を見ると胸が温かくなった。
階段を降りたところで、ひとり、こっちに向かって歩いてくる人がいた。
「十也くん・・・」
「・・・水瀬、帰って来たんだな」
「・・・おう。長谷部、お前のおかげで予定よりもだいぶ早く帰って来れたわ」
「・・・お前のために何かした覚えはねーよ。・・・・・・華山、約束したから、ちゃんと諦めるよ。・・・・・・幸せにな」
「十也くん・・・、ありがとう」
「おう、・・・水瀬が嫌になったら、俺がいるから」
「お前・・・それは絶対ねーから、諦めろ」
「じゃあな、鈴」
「おいっ、俺は無視かよ。しかも鈴って」