君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
一旦靴を履いて外に出た私たちは、体育館に入ってまた靴を脱いだ。
暗くなった外から来たせいか、体育館のライトがやけに眩しく感じる。
男子バスケ部のコートサイドには女子の人だかり。ちゃんと邪魔にならない範囲で試合を観ていた。
そのコートの中で、一際目を引く人物。
無駄のない彼のプレーには、誰もが目を奪われる。
「っ、」
久しぶりに体育館で真剣にプレーする奏を見たせいか、なぜか胸の奥がキュッとなった。
・・・・・・ちがうちがう、
ただただ単純にすごいと思っただけだよ。
あの頃とはちがう。
そう必死に自分に言い聞かせた。