君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「あれあれ、ヤキモチですか?
嬉しーね、鈴ちゃんが妬いてくれるなんて」
「・・・・・・妬いてないよ」
他校にいるらしい、彼女の存在に少しだけ心が暗くなるのを感じながらフルートを片付ける。
「・・・ふーん」
奏・・・なんかちょっと不機嫌?
どうしたんだろ。
「今日はバスケ、しないの?」
「あ、やべっ、もう勇也たち来てるかも。
じゃあ、行くわ!」
そう言いながらベッドから飛び起きて、私に笑顔を向けると部屋のドアへ向かって歩いていく。
・・・あれ、いつも通り。
体調悪いわけじゃないのね。
「いってらっしゃーい」
ひらひらと手を振る。
大体いつもこんな感じ。
彼女がいるのに、休日まで友達とマンション近くのバスケットコートでバスケをして遊んでいる。
彼女と遊ばなくていいのかな。
バスケばっかりしてる気がするけど、そんなに寛大な彼女なのだろうか。
彼女ができたと聞いてから半年は経つのに、会ったこともないその他校の"彼女"を少し憐れんだ。