君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「ーー鈴っ!」
部活を終えて着替えた奏が、少し息を切らしながら走ってきた。
「っ、」
「奏・・・」
「っはあ、ごめんっ。待ったよなっ・・・・・・ って、え・・・長谷部・・・?」
奏は少し驚いたように、視線を私から十也くんへ移した。
「・・・なに、してんの?」
「えっとー・・・」
なんて言おうかと言葉に詰まると、
「べつに、話してただけだけど」
十也くんはそう言って、グッと私との距離を縮めた。
思わずびっくりして十也くんを見上げると、
「・・・華山、また今度な」
私を見下ろしてそう苦笑いすると、踵を返して行ってしまった。
「えっ、あ・・・またね・・・」
まだ話の途中だったのに、よかったのかな・・・
結局ちゃんと話せていない気がするけど・・・
明日、また聞いてみよう。