君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「最近は、水瀬とばっか帰ってたもんな」
「はは、そうだね」
「アイツ、わかりやすいよな」
「え?」
「いや、こっちの話。・・・そういえばさ、華山の親父さんまたテレビで観たよ」
「あー、今ツアー中なんだよね。LIVE映像のやつが映ったのかな」
お父さんは今、田沢永吉さんのバンドのドラムを担当していて、LIVEの様子が情報番組で流れるとたまに映るんだ。
「うん、マジですげーよな。あんな一流アーティストのバックドラムなんて。マジで憧れる」
「ほんとにね、私もカッコいいと思ってる。十也くんもドラマー目指してるんだもんね」
「うん、だから華山さん、華山の親父さんは俺の憧れなんだ」
「ふふ、なんか嬉しいよ。ありがとうっ。ーーあっ!そうだ、お父さんのドラムセット見ていく?うちに置いてある練習用みたいなやつだけど」
「えっ、マジでっ、・・・いいの?」
「うん、十也くんならいいよ」
「うわーマジか。見たい!」
ふふ、いつもクールな十也くんのテンションが上がっているのがわかる。
私の両親は表舞台で活躍しているから、奏や蘭ちゃん以外家に入れたことはないんだけど、十也くんは大丈夫だと思う。
「いいよっ、ぜひ見てって」
そのあともお父さんの話で盛り上がっているといたのまにかマンションに着いた。