君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜

「え、」


「ごめんな、遮って。でも華山の口から直接聞きたくなくてさ。･･･ずっと見てきたから、なんとなくわかってた」


十也くんは悲しそうに笑った。



「水瀬のこと、好きなんだろ？」



「･･･うん。･･･十也くんの気持ちは嬉しいけど･･･ごめんなさい」


「･･･そっか。･･･でも俺、諦めないから」


「十也くん･･･」


「そんな軽い気持ちじゃねえし、簡単には諦められない。･･････好きでいるのは自由だろ？」



あ･･･


十也くんは、今の私と同じなんだ。



好きな人を簡単に諦められない気持ちは、今、痛いほどよくわかるから。



「うん･･･わかった。･･･十也くん、ありがとう」



「おう。･･･こっちこそありがとな、聞いてくれて。･･･これからも今まで通り、よろしくな」


笑顔ではないものの、十也くんはなんだかすっきりした顔をしていた。


「うん」



穏やかな空気が流れる。




「･･･じゃあ、そろそろ帰るわ」


「あ、うん」


一緒に立ち上がり、玄関まで送る。