君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
状況を理解したとたん、
ドキンドキンと心臓が大きく波打ち出す。
「アイツのこと、好きなの?」
真剣に見下ろす綺麗な瞳に、身動きがとれない。
「ちがっ・・・」
「じゃあなんで家上げたんだよっ」
目の前の顔が苦しそうに歪む。
「それはっ、お父さんのドラムを、・・・見せてあげたくて・・・」
「っ、・・・だからって、なんで男を家に上げてんの・・・」
「だって、十也くんはっ、友達だから・・・」
なんで・・・
「アイツだって、男なんだぞ。男と二人きりになる意味わかってる?こうやって襲われてたかもしれねぇんだぞっ」
私の腕を押さえつけているその手に、力がこもる。
「っ、十也くんは、そんな人じゃないよ!」
なんで・・・
なんでそんなに怒ってるの・・・
いつのまにか目に溜まっていた水で、奏の顔が滲む。
それに気づいた奏は、ハッとして私を見たまま固まった。