君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「・・・奏、痛いから離して・・・」
「っ、ごめんっ・・・」
バッと私から離れた。
目から溢れた涙を隠すために、両手で顔を覆う。
なんで・・・
「なんで、ぅっ、こんなことっ」
奏には彼女がいるのに。
なんでこんなことするの・・・
意味わかんないよ・・・
「鈴・・・、ごめん、・・・悪かった」
さっきまで怒りと苛立ちを含んでいた奏の声が、力無いものへと変わっていた。
奏が・・・わからないよ・・・
好きなはずなのに、たった今起きた出来事で頭が混乱している。
「・・・・・・帰って」
「っ、鈴・・・」
「お願い」
ーーーカチャ
リビングのドアが閉まる音がやけに静かに響いた。