君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
ソファに寝転んだまま、ぼーっと天井を見つめる。
私は、もちろん奏の彼女ではないし、好きな人でもない。
なのに、そんな人を押し倒すの?
ただの幼なじみを?
正直、あんなに奏と近づいたのは初めてで、びっくりしたけど、すごくドキドキもした。
だって・・・好きな人だよっ
決して良い状況ではなかったけれど。
・・・奏、
怒ってたよね。
十也くんを家にあげたことに怒ってた。
でもなんであそこまで怒ってたのか、全然わからない。
小さい頃から、奏しか見ていなかった私は、ほぼ恋愛経験値ゼロ。
そんな頭で考えても、答えなんてわかるはずがなかった。
うぅ〜蘭ちゃん・・・
こんな時に頼れるのは蘭ちゃんしかいなくて、思わずテーブルに置いてあった携帯を握った。
あ・・・でも、やめよう。
蘭ちゃんは今日の部活できっと疲れてるはず。
明日、また学校で聞いてもらおう。
そう決めて、涙に濡れた顔と頭のモヤモヤを少しでも流すためにお風呂に入った。