君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
奏side.
「あー、お前、それはやったな」
勇也と売店に飯を買いに行った帰り、「で、なにがあったわけ?」と勘が鋭いコイツは聞いてきた。だから事の一部始終を話した。
「・・・だよな」
自分でもそう思う。
鈴、泣いてたしな・・・。
「鈴ちゃんの立場からすれば、彼女がいるのに、他の女にも手を出す最低な男ってとこだな」
「あー・・・なんも言えねぇわ」
廊下を歩きながら、窓の外に視線を流す。
あの時は、抑えがきかなかった。
鈴が、長谷部と家に二人っきりだったと思うと、どうしようもない嫉妬心にかられた。
それだけじゃなくて、
鈴が長谷部のこと好きなんじゃないかとか、
長谷部が鈴に手出したんじゃないかとか
そんなことばかりが頭ん中を支配して、感情のままに鈴を押し倒してしまった。
「学年一のイケメンで、モテまくりの水瀬奏も鈴ちゃんのことになるとこのザマだもんな」
「・・・うるせぇよ」
ケタケタと隣で笑ってるやつを横目で睨む。
「でもお前、そろそろ気をつけねーと俺の彼女から一発くらうぞ?」
「それは笑い事じゃねぇな」
鈴のことだから、滝に何か話してるだろうな。