君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
「・・・奏」
「マジで来てくれたんだな」
そう言って嬉しそうに微笑みながら、目の前まで歩いてくるユニフォーム姿の奏は、すごくカッコ良くて思わず見惚れてしまう。
「っうん。さっきの試合は途中からだったけど、・・・すごかったね!決勝進出おめでとう」
「うん、ありがとな。・・・鈴が来たってわかってから、めっちゃ力でたわ」
「っそんな・・・何言って・・・」
お世辞かもしれない奏の言葉に戸惑う。
「次の決勝、・・・絶対勝つから。だから約束通り、終わったら俺の話聞いて」
「う、うん」
「俺から目離すなよ、鈴」
「・・・うん」
ドキッドキッと心臓が暴れる。
「じゃあ、行くわ!応援よろしくな」
「うん、頑張ってね」
・・・よかった。最後はちゃんと言えた。
走って戻って行く奏を見送りながら、胸に手を当てて落ち着かせる。
あぁーすごい。
恋してるな・・・私。
ドキドキが治らない。
あ。そういえば、奏の彼女さんも来てるんだろうか。
急にそんなことを思って、今さっきの出来事になんだか罪悪感を感じながら2階席へと足を進めた。