君への想い、この音にのせて〜こじらせ幼なじみの恋の行方は〜
人ひとり分の間をあけて、お互いベンチへ腰掛ける。
今まで隣に座ることなんて数え切れない程あったのに、こんなにドキドキするのは初めてだ。
「今日は、来てくれてありがとな」
最初に口を開いたのは奏だった。
「ううん!あ、優勝おめでとう。それと、おつかれさまっ」
緊張を悟られないように、できるだけ自然に振る舞う。
「おぅ、ありがと。最後、鈴の声ちゃんと聴こえたよ」
「あ・・・うん。なんか、出ちゃった」
改めて言われると恥ずかしい・・・。
顔が自然と下を向く。
「鈴のおかげで勝てたよ」
「え、いや、そんなっ」
「マジマジ。・・・鈴が見てくれてるって思ったらさ、いつも以上に頑張れたわ」
「っ、」
また・・・またそんなこと・・・。
「奏。あのね、そういうこと彼女以外に言うと勘違いさせるから・・・ダメだよ」
この際だから、はっきり言った。