一度倒れたら、溺愛がとまりません!!
夜から朝まで南の様子を見ていたが、
熱でつらいのか、起きることはなかった。

途中、少しうなされてはいたけど…
「熱はまだ高い、でも検査させたいしな」

殴られたところが腹部なので南の持病の検査もしたかった。

「…けんさ…するの?」

「起きた?むりやり起きちゃだめだよ。
装具つけてるとはいえヒビ入ってるから」
ベッドをボタンで起こしてあげた。

ぎゅ…
南が珍しく抱きついてきた。

「どうした?辛い?」

「クラクラする…意識がはっきりしない」

「熱、まだ38.8だしね、目もうるうるしてるし…検査できる?」

「…できる。てか、しないと大変でしょ。
晴が」

「主治医は、確かに俺だけど医者目線はいらないよ。患者としての目線でいいよ」
頭を撫でながら、子供と接するように言った。

「…検査はできる…けど…、食欲が
もどら、ない気がするし、…い…」

「い?」

「…家に…帰りたい、晴のマンションに、
帰りたい」

「そっか、帰りたいか。なるべくそうできるようにする。家の方が安心する?」

「…うん…ここにいていいんだよって言われてるみたい。晴の部屋は」

「…フッ、そっか、まあ、俺も南も医者だから、家での治療にはそんな難しくないと思うよ。だから、今日の採血と検査しだいかな?」

「採血…?今日?」

「うん、あと一時間くらいしたら採血だと思うよ」

「…や、だ…採血…」

「え?注射嫌い治ったんじゃなかったの?」
南は昔から持病があったから採血やらで
注射ぎらいだった。

「なおって…ない…」

「えっ?この前も今も点滴できてるじゃん。あっ、南の意識がある中まだやってないわ」

「…ほんとに、やるの?」
そんな上目遣いで言われても…

「やるよ、決まってることだからね」

「…マジでやだ…」

「おいおいおい…元小児科医がんばれ!」

「…はーい」
南は渋々うなずいた。
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