塩キャラメルは甘くない。




私の部屋は、218号室だった。


ここに、未来のお婿さんが…。


期待と緊張が入り混じって、でも期待の方が勝って、私は震える手でドアを開けた。


「今日からお世話になります…桃瀬芽琉です…」


ぎゅっとつぶっていた目をそっと開けると、そこには金髪の男の子が。


ちょうど今外に出ようとしていたみたいで、靴を履いているところだった。


「かっこいい…」


思わず見惚れてしまうほど、彼は美しかった。白い肌、薄い茶色の瞳、おまけにパリッとしたブラウス。モテないわけがない、と断言できる美貌だった。


目を丸くして私を見つめていた彼だったが、やがてありがとうと軽く笑みを作った。


「俺は櫻井仁希。よろしくね」


「はい!えっと…」


私が話しかけようとすると、ガチャリと玄関のドアが開いた。


「……え」


入ってきたのは、茶髪ボブの可愛らしい女の子。



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