NGなきワル/バイオレンス長編作完全版!👉自らに過酷を課してのし上がったワルの非情とどうしようもない”ある焦がれ”…。
大打ノボル、最終選択点”殺人コーディネート”に到達す…!
悪の研鑽⑥



「おい、椎名…。じゃあ、その黒原って男は、あくまで、やの字を拒絶、排除してのカベになってるんだな!今までのオレらと権田組のようにデキてたとかはないってことなんだよな?」

「ああそうだ。黒原は水面下でやくざに手を差し伸べてなどいないし、仮に諸星会長から微笑み外交に出られてたとしても、門前払いする男なんだろう。当然、力を以ってとなれば、その持てる勢力を結集できる力量も備えているはずさ」

「!!!」

「その諸星さんの親会社社長は関東内でも有数の実力者、坂内さんだぜ。諸星さん以外のあの人で、そのカベが何とかなるなら今頃とっくさ。あの人なら、そんなこと躊躇ないよ。でもしなかった。それは、できなかったからだ…」

「うぉおおーー‼」

”バターン…!”

ついに武次郎に火がついた…。

...


椎名は、眼前で亀の甲羅返しを晒してるテーブルをゆっくりと復元した。

「武次郎…、今後のこともあるから、あえてここで言うぜ」

「言ってみろ!…彰利よう‼」

「”この関連”、お前には故意に伏せていた。今日の局面を踏まえてな…。一気で話すつもりだったんだ…」

「貴様ぁ…!」

武次郎はまさに鬼の形相だった…。


...


「…最優先は、武次郎、お前を説得させるためだった。それがまずありきだったんだ」

「ううっ…、うう…」

「なあ、武ちゃんよう…、ここヨコハマは関東有数だ。ある意味、世界の”首都”トキオを勝ってる面もアリだ。だが、今のオレ達が目指すロードに於いては、そこ、一旦どかしとく必要があると思うんだよ。アンタのあんちゃんは、そこんとこ、今のこの局面で気づいてた。だからこそ、慎重居士ご乱心を演じてる…。武ちゃん、あの人はオレにとっても、大好きなあんちゃんなんだよ」

「ハア、ハア、ハア…」

武次郎は既に汗を大玉にして、顔中から噴出させていた。


...


「武ちゃん…」

「あきちゃん…」

ハマの竹馬の友はこの時結ばれた…。

しかし…。
”これ”を伏線として、この数年後にはとてつもないドン伝返しをもたらす土台が培われて行くことになろうとは、この時の二人には予想だにできなかっただろう…。

それは、南北に遠く離れていた、大打ノボルと後の”タカハシ”、その二人も…。




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