婚約破棄された追放聖女は、皇太子と二度目の婚約をする【短編】
「邪魔よ、どきなさい、ここは私の場所よ」
あまりに強く肩を押されたものだから、よろけて両手をついた。
すぐに立ち上がり後ろへと下がると、ソフィア様がレースがたっぷりと使われた高そうなドレスの裾をふわりと広げるようにして神像と両陛下の前に跪いた。いや、腰を落としただけだろうか。スカートの中で足の動きは見えない。ただ、その動きはとても優雅で美しい。
聖女らしいというのはこういうことなのだろうか。
レオン様も……ソフィア様のように美人でスタイルもよくてその上優雅に振る舞い、祈りの言葉も完璧な人が好きなのかな……。
「やむごとなき神に感謝と祈りをさせたまふ。かたじけなくさふらふ我ら生まれ暮らすに、我らの父なる神は日ごろ優しくみまもりたまへり。雨が大地湿らし作物実らすべく、神の祝福により、我らの願ひをかなえるお力添えしたまへ」
まるで歌でも歌うかのようにソフィア様は祈りの言葉を口にした。
あまりの言葉の心地よさに、ほうとため息が漏れ聞こえてくる。
レオン様が求めているのはこれなのかな。
祈りの言葉が終わったとたんに、ぱぁーっと礼拝堂にまばゆい光に包まれた。
「すごい……」
私が祈った後の光が降り注ぐのとはレベルが違う光量に息をのむ。
光が収まると、殿下が陛下にどや顔を見せた。
「どうですか、父上。これで、ソフィアが本物の聖女だとお分かりいただけたでしょう? これほどの力があるのですから」
陛下が明らかにほっとした顔を見せる。そして、独り言をつぶやいた。
「ああ、確かに……そうか。『過ちの者から正しき者に引き継がれる』とは聖女のことであったか……それならよかった。今頃になって継承問題が再燃したかと……」
継承問題?
あまりに強く肩を押されたものだから、よろけて両手をついた。
すぐに立ち上がり後ろへと下がると、ソフィア様がレースがたっぷりと使われた高そうなドレスの裾をふわりと広げるようにして神像と両陛下の前に跪いた。いや、腰を落としただけだろうか。スカートの中で足の動きは見えない。ただ、その動きはとても優雅で美しい。
聖女らしいというのはこういうことなのだろうか。
レオン様も……ソフィア様のように美人でスタイルもよくてその上優雅に振る舞い、祈りの言葉も完璧な人が好きなのかな……。
「やむごとなき神に感謝と祈りをさせたまふ。かたじけなくさふらふ我ら生まれ暮らすに、我らの父なる神は日ごろ優しくみまもりたまへり。雨が大地湿らし作物実らすべく、神の祝福により、我らの願ひをかなえるお力添えしたまへ」
まるで歌でも歌うかのようにソフィア様は祈りの言葉を口にした。
あまりの言葉の心地よさに、ほうとため息が漏れ聞こえてくる。
レオン様が求めているのはこれなのかな。
祈りの言葉が終わったとたんに、ぱぁーっと礼拝堂にまばゆい光に包まれた。
「すごい……」
私が祈った後の光が降り注ぐのとはレベルが違う光量に息をのむ。
光が収まると、殿下が陛下にどや顔を見せた。
「どうですか、父上。これで、ソフィアが本物の聖女だとお分かりいただけたでしょう? これほどの力があるのですから」
陛下が明らかにほっとした顔を見せる。そして、独り言をつぶやいた。
「ああ、確かに……そうか。『過ちの者から正しき者に引き継がれる』とは聖女のことであったか……それならよかった。今頃になって継承問題が再燃したかと……」
継承問題?