時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

第十一話 if~消えたお茶会~(アリシア)

今日は友人のアニスのお茶会にやって来た。

驚くことに今日のお茶会のメンバーには第2王子のレオンハルト様の婚約者がいた。



どおりで今日は、アニスの邸に、特に庭に警備がついていると思った。



婚約者はリディアという名前で、侯爵令嬢らしい。

私より身分もありお金にも困ってない。

お茶会用のドレスでさえオーダーメイドなのだろう。

明らかに私とは値段が違う。



でも顔はとりわけ美人ではない。

私の方がずっと可愛いと思った。



リディアを見ていると、何だかイライラした。



そして、お茶会の途中で、警備達が動き出したと思ったら、一人の男性がやって来た。



警備の騎士達が整列し、その間を歩いてきたのは、薄い茶髪のまあまあ顔の良い男性だった。

背も特別高くはないけど低くもない。

何より、着ている服が明らかに私達とは違う立派な仕立てだった。



リディアが立ち上がると皆が一斉に立ち上がった。

私もつられてガタンと音を立てて立ち上がった。



身なりのいい男性は真っ直ぐにリディアに向かって歩いてきた。



「リディア、ここにいたのか」

「レオン様、どうなさったのです。今日はお約束はしてなかったはずでは?」

「リディアに会いにウォード邸に行ったのだが、茶会に行ったと聞いてこちらにきた」

「まあ、そうだったのですか。すみません、留守にしてしまって」



どうやら、この優男がリディアの婚約者のレオンハルト殿下のようだ。

わざわざ、王宮から会いに来るとは、婚約者にも恵まれているのか。



リディアはレオンハルト殿下に、「では、帰りましょう」と言っている。

レオンハルト殿下は、ちらっと目線がティーカップを見た。

ほんの一瞬だが私は見逃さなかった。



その時私は、何を思ったのか声をかけた。

チャンスだとでも思ったのだろうか。

本当なら、かけてはいけないだろうけど。



「レオンハルト殿下にお会いできて光栄です。もし良ければご一緒にいかがですか?」



私が、スカートの裾を持ち頭を下げて言うと、リディア以外のアニスや周りが止めた。

青ざめていた者もいた。でも、私は気にしない。



「アリシア! いけません! 許可なく殿下をお誘いしては!」



しかし、レオンハルト殿下は、少し嬉しそうになった。



「では頂こう」

「レオン様、よろしいのですか?一緒に帰りますよ」



レオンハルト殿下は、リディアが止めるのも聞かずお茶会に混じった。



リディアの隣に座るレオンハルト殿下は、彼女を見ていた。



リディアは変わらず微笑みを返していた。



時々レオンハルト殿下はリディアから周りを見ていたが、周りの皆は急に来た殿下に緊張しており、作り笑顔になっていた。



そしてレオンハルト殿下と目が合った時、私は可愛い笑顔を見せた。



この時、もしかしたら私はリディアからレオンハルト殿下を奪えるのでは、と脳裏をかすっていた。





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