時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

第十七話 図書館には地下がある

図書館に着くと、奥にある本棚の前に連れて来られた。

オズワルド様の魔法で本棚を動かすと、扉が一枚現れた。
この扉も魔法で開いた。

図書館は、夜に来た時と違い、窓から日が差しまあまあ明るかったが、地下への階段は真っ暗だった。
オズワルド様が昨日と同じように手をかざすと階段に灯りが点いた。

ハッキリ言って降りたくない。
よく考えてみれば、何故私が、オズワルド様の恋人に会わなければならないのか。
でも、オズワルド様の言ったことは、正直突き刺さった。

見て見ぬふり……。
そのせいでレオン様が離れたのだろうか。
だが、レオン様に好きだと言われたことはない。
お父様がレオン様との婚約を喜び、周りが祝福したから、私は期待に応えなければと頑張った。

お父様とお母様のように政略結婚でも、愛はできると思っていた。
でも、レオン様とはそうならないし、もうなりたくもない。

……こんなことを考えるのも嫌だ。
めんどくさくなってきた。

この２日、ずっと寝てないせいか、色んなことを思いだし、考えていた。
正直もう疲れた。
イライラするし、悲しくもなる。

涙がこぼれそうだった。

「リディア、ちょっとおかしくないか？」
「私が変な女と言いたいのですか！」
「それはどうでもいいが、感情の起伏がおかしいと言うか、テンションが変じゃないか？何かあったのか？」
「眠れないし、すぐに浮気されてはイライラもします！」
「寝てない？ いつからだ？」
「時間が戻ってからずっとです！」

オズワルド様が額に手を当て頭を抱えていた。

「何故早く言わない」
「心当たりがあるんですか！？ ……まさかオズワルド様が私に呪いを？」
「呪いではない。確信はないが……とにかく地下に来るんだ」

行きたくないが、このままでは話が進まないし、寝れない理由もわかるらしいから、とりあえずオズワルド様と図書館の地下に行くことにした。

当たり前だが地下に窓は一つもない。
壁にへばりつきながら、おずおずと階段を降りた。

「リディア、怖いなら掴まればいいだろう」
「近付かないで下さい」

びくびくしながら、オズワルド様を先頭にやっと階段を降りると、一つの扉の前に着いた。

オズワルド様がまた魔法で開け、灯りを灯すと中は魔導書らしきものや水晶等、魔導具かな、と思うものがあった。
そして扉から真っ直ぐの壁の前に王宮の謁見室にあるような立派な椅子に大きな水晶が乗せてあった。

そして、オズワルド様が水晶に声をかけた。

「カレン、出て来て下さい。リディアです」

そして水晶から現れた。
真っ黒なオーラを纏っているのか、ボワッと人影が！

そして、ニヤリとした！
足もない！
人影なのに足がない！

「キャアアアアッ！？」

隣に立っていたオズワルド様にわけもわからず抱きついてしまった。