時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
第二十七話 仲良しを見せましょう
アレク達を出迎え、夕食にはまだ早い為、サロンでお茶を飲むことにした。
「今回はレオン様も一緒とは珍しいですね」
「何故か暇だったもので」
そりゃそうだ。
リディアと婚約出来なかったのだからな。
しかし、リディアと隣同士座っているが、恥ずかしいのかリディアは少しずつ離れようとしている。
せっかく、レオン様にリディアとの仲を見せてやろうとしたのに、何故少しずつずれていく。
リディアの肩に回していた手をそのまま、グイッとリディアを抱き寄せるように耳元で話した。
「何故離れようとする? 仲が良いと見せるんじゃないのか?」
「近づき過ぎです。本の角で殴りますよ」
一緒に寝ているくせに人前では恥ずかしいのか、リディアは作り笑顔のままこっそり耳元で言った。
しかし、リディアとレオン様にはあの消えた半年に随分嫉妬させられた。
今度はレオン様にモヤついてもらいたい。
それに、リディアがまだレオン様に気持ちが残っているのかと思うと不愉快だった。
「そうか、もっと側にいたいか」
ちょっとした悪戯心も含めて、リディアを片腕で包み込むように抱き寄せた。
リディアは人前だから、笑顔は崩さないが内心きっと、ムゥと、しているだろう。
「それにしても、オズが急に婚約とは驚いたが、随分仲が良いな」
「どこぞの浮気者が、リディアに婚約を申し込んでは困るからな」
「まあ、オズワルド様ったら」
リディアは、ふふっと笑った。
その作り笑顔を見ると後で二人っきりになったら文句を言われそうだが、俺は気にしない。
レオン様は眉間にシワを寄せ、お茶を飲んでいた。
途中からはどうか知らんが、やはりリディアのことは好きだったのだろうと確信した。
「リディアは明日の狩りはどうするんだ? オズと行くのか?」
アレクが狩りの話をし、そういえば、この休暇でアレクとヒースと山鳥を狩りに行ったことを思いだした。
狩りだからレオン様も行くと思うが万が一残ると言われては困るからリディアも強制的に連れて行くことにする。
「勿論一緒に行くぞ。リディアは俺の馬に乗せる」
「そうか、なら明日は皆で狩りに行けるな」
リディアは、楽しみですね。と言うが、インドア派のリディアにはあんまり乗り気ではないだろうと思う。
まあ、俺を勝手に暗殺者にしようとしたのだから、それくらいはしてもらおう。