時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

第六十七話 自業自得

今日は、ノートンと対面するがリディアは連れて行きたくない。
アレクには夕べから宮に泊まらせてもらっていると伝えに行くと、ヒースのように、何をやっているんだ、と呆れていた。
そして、今日はフェリシア様がお越しになると教えてくれた。
丁度いいから、リディアをアレクに預けてフェリシア様とお茶でも飲んでもらいながら待たせることにした。
リディアに、では行って来るぞ。と片手を上げ笑顔で言うと、リディアも軽くだが、手を振り返してくれる。



リディアの姿が可愛くて満たされた気分で行くと、こっちは全く可愛くなくため息が出た。
ノートンとの対面だ。
まずは父親のノートンから話し出したが、後悔と憤りを感じているような苦々しい顔だ。

「……ブラッドフォード公爵様。何故あのような嘘を……」
「俺は嘘なんぞ言っとらん。お前が勝手に勘違いしたのだろう」
「そんなっ……」
「気に入らないなら、真実の書に契約するか? 俺の魔力を真実の書に捧げるから嘘をついたら一生闇に飲まれるが、嘘を言わなければ問題ないぞ」
「……っできません」
「何故だ?」
「嘘は言いませんから」
「ならば、あったことだけ話せ。お前の感情でものを言うな」

ノートンは下を向き、ワナワナと震えていた。そして、ありのままのことをやっと話した。

「ブラッドフォード公爵様の調書と一致しましたね。やはり、ノートンの勝手な思い込みです。理解しましたか?」

立ち会っていた審議官が、そう話すとノートンはやっと破滅したことを実感したように項垂れた。

「ブラッドフォード公爵様への不敬罪はどうしますか? あの場にいた魔法騎士団がブラッドフォード公爵様を呼び捨てにし、訴えようとしていることを目撃しています。今回のノートンの結果を見るに、ブラッドフォード公爵様に冤罪を掛けようとしていたと思われます」
「法に従い罰を与えてくれ。二度とブラッドフォードと関わりを持つことは許さん」

これで、ノートンは一生ではないが刑務所に行き俺に莫大な慰謝料を払う羽目になる。
二度と復帰はできんだろう。

「娘のアリシアはどうしますか? 現在呪い返しの専門家が見てますが」

審議官が項垂れたノートンを無視して話を続ける。

「打ち切れ。自業自得だ。刑務所から出るまで呪い返しの治療をすることは許さん」

アリシアは素人だった。
呪い返しでアリシアが事切れなかったのも素人で呪いが弱く、その上俺のやった魔除けの魔水晶のおかげで弱まり顔に痕が残るだけで事切れなかったのだ。
リディアのように弱くても長期間に行われればどうなったか。
そして、あの程度の呪い返しなら治療は可能だ。
だが、金はかかる。
この先、刑務所から出てもまともに金は稼げないだろう。
金がなければ呪い返しの治療は出来ない。
だが、それさえも自業自得だ。

審議官は俺の意見を通し、アリシアの治療はすぐさま打ち切られた。
そして、ノートンより長く刑務所に入ることに決まった。






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