時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
第七十四話 レオンは何かが切れた
オズワルドとリディアが仕事で兄上の宮に滞在しており、時々遠目でリディアを見かけた。
あくまでも偶々見かけただけで一度も声もかけられず会うこともなかった。
実際に会ったのは、フェリシア様のお茶会にエルサを連れ戻しに行った時だけだったのだ。
でもそれでいいのだろう。
今はリディア達二人の邪魔にはなりたくなかった。
現在、ホールの改修工事中だ。
エルサが改修が終われば、このホールで婚約パーティーを行いたいと言いだし、半ば無理やり連れてこられた。
「レオン様、あのシャンデリア地味じゃありません?」
「変えられない。シャンデリアも全て決まっている。口を出さないでくれ」
「もうッ!」
エルサは、ふて腐れたようになり、私も不快感が増した。
フェリシア様にも迷惑をかけているらしく、謝罪に行かせるために改修工事中のホールからさっさと連れ出して兄上の宮へ行こうとすると、木陰にオズワルドとリディアがいた。
思わず足を止めてしまった。
オズワルドがリディアを抱き抱え恋人のキスをしている。
リディアもオズワルドの肩から首に手を回して受け入れているのがわかる。
リディアは恥じらいの顔になっているが明らかにオズワルドに惚れている顔だ。
あんなに可愛い顔のリディアは見たことがなかった。
どう見ても綺麗な恋人の一幕だった。
呆然としてしまっていると、エルサの声でハッとした。
「オズワルド様ったら相変わらずですね」
「……オズワルドはもう女の影はない。リディアだけだ」
エルサに、まるで今までのオズワルドだと言われている気がした。リディアまで遊びの一人だと言わんばかりの言い方に聞こえたのだ。
それが益々不快感を煽った。
何かが切れた気がした。
エルサとの婚約、結婚という糸が切れたのだ。
そして婚約破棄という言葉が形を表したようにハッキリと感じた。
「エルサ、婚約破棄をする」
「……レオン様? 急にどうしました? 冗談ですわよね?」
「冗談ではない。君にはうんざりだ。……花嫁修業もまともにしてないだろう」
「……私には必要ありませんわ!」
「必要はある。私と結婚するのだから必要なことを覚えてもらわねばならない」
「……リディアですか? リディアが王宮に来てから時々見てましたよね」
エルサは顔を歪めて低い声で言った。
「リディアは関係ない。君という人間が不愉快だ」
「……絶対認めませんわ」
エルサはスカートの裾を持ち上げ乱暴な足取りで走り去った。
王宮で、しかも妃となろう者があのように走るなど、また不快感が増した。
リディア達を見るともういない。
二人の邪魔はしたくないし、自分の有り様も見られたくなかった。
二人に気付かれなくて、私はホッと胸を撫でおろしていた。
あくまでも偶々見かけただけで一度も声もかけられず会うこともなかった。
実際に会ったのは、フェリシア様のお茶会にエルサを連れ戻しに行った時だけだったのだ。
でもそれでいいのだろう。
今はリディア達二人の邪魔にはなりたくなかった。
現在、ホールの改修工事中だ。
エルサが改修が終われば、このホールで婚約パーティーを行いたいと言いだし、半ば無理やり連れてこられた。
「レオン様、あのシャンデリア地味じゃありません?」
「変えられない。シャンデリアも全て決まっている。口を出さないでくれ」
「もうッ!」
エルサは、ふて腐れたようになり、私も不快感が増した。
フェリシア様にも迷惑をかけているらしく、謝罪に行かせるために改修工事中のホールからさっさと連れ出して兄上の宮へ行こうとすると、木陰にオズワルドとリディアがいた。
思わず足を止めてしまった。
オズワルドがリディアを抱き抱え恋人のキスをしている。
リディアもオズワルドの肩から首に手を回して受け入れているのがわかる。
リディアは恥じらいの顔になっているが明らかにオズワルドに惚れている顔だ。
あんなに可愛い顔のリディアは見たことがなかった。
どう見ても綺麗な恋人の一幕だった。
呆然としてしまっていると、エルサの声でハッとした。
「オズワルド様ったら相変わらずですね」
「……オズワルドはもう女の影はない。リディアだけだ」
エルサに、まるで今までのオズワルドだと言われている気がした。リディアまで遊びの一人だと言わんばかりの言い方に聞こえたのだ。
それが益々不快感を煽った。
何かが切れた気がした。
エルサとの婚約、結婚という糸が切れたのだ。
そして婚約破棄という言葉が形を表したようにハッキリと感じた。
「エルサ、婚約破棄をする」
「……レオン様? 急にどうしました? 冗談ですわよね?」
「冗談ではない。君にはうんざりだ。……花嫁修業もまともにしてないだろう」
「……私には必要ありませんわ!」
「必要はある。私と結婚するのだから必要なことを覚えてもらわねばならない」
「……リディアですか? リディアが王宮に来てから時々見てましたよね」
エルサは顔を歪めて低い声で言った。
「リディアは関係ない。君という人間が不愉快だ」
「……絶対認めませんわ」
エルサはスカートの裾を持ち上げ乱暴な足取りで走り去った。
王宮で、しかも妃となろう者があのように走るなど、また不快感が増した。
リディア達を見るともういない。
二人の邪魔はしたくないし、自分の有り様も見られたくなかった。
二人に気付かれなくて、私はホッと胸を撫でおろしていた。