時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
第七十六話 魔法薬
魔法使いが魔力を回復するのに使われる魔法薬をフェリシア様に準備され、すぐに飲まれた。
魔力を回復する魔法薬は凄く貴重で高い。
それでもフェリシア様には惜しみ無く出される。
そして、フェリシア様の兄上様のフェルト様がいらした。
フェルト様は30歳過ぎの方で、シャレイド公爵家の次期後継者だ。
彼は魔法騎士団の団長だから、そのまま知らせを受けて来たのだろう。
魔法騎士団の隊服のままだったから。
「フェリシア、父上も今こちらに向かっている。……一体いつからこんなことに……」
「兄上、リディアが異変に気付いて下さったのです」
フェルト様がフェリシア様の視線の先にいる私に振り向き、私は挨拶をした。
「初めまして、リディア・ウォードです」
「リディア様、妹の異変に気付いて下さりありがとうございます。俺はフェルト・シャレイドです」
「どうぞリディアと呼び捨てにして下さい」
フェルト様は胸に片手を当て私に一礼した。
「それに、私は何もしていません。ただオズワルド様にご相談しただけです。オズワルド様のおかげで異変に気付きました。どうぞオズワルド様に……」
「オズワルドに?」
「フェルト様、リディアは俺の婚約者です」
「そうだったか。オズワルド、助かった。感謝する」
オズワルド様とは以前からの顔見知りなのだろう。強張っていた表情が和らぎ、するりと礼を交わしていた。
「リディア、俺達は一度部屋に帰ろう。ここにいてもできることはない」
「はい。わかりました」
オズワルド様に連れられて部屋に帰ると、彼はすぐに従者のウィルとマリオンを呼んだ。
「ウィル、リンクスに連絡をしに行くからその間、リディアの部屋を守れ。俺が帰ってくるまで誰も入れるな」
「はい!」
「オズワルド様、リンクスに何のご用ですか?」
「邸にある魔力回復の魔法薬を届けさせる。緊急連絡用の魔水晶を使うからすぐに連絡がつく。リディアは部屋にいろ」
「オズワルド様……」
オズワルド様が部屋にいなくなると何だか不安になる。つい、心細くてオズワルド様の服の裾を握ってしまった。
その手に添えるように彼の手が重なる。
「問題が起きたのはフェリシア様だ。リディアじゃない。ウィルを置いて行くのは俺が心配なだけだ」
私の不安を見透かしているように言われた。
「はい。気をつけて下さい」
「待っててくれ」
オズワルド様が部屋から出るとマリオンが、「すぐに戻りますよ」と優しく励ましてくれる。
「ウィルは護衛が出来るの? もしかしてウィルも魔法を?」
オズワルド様はウィルを私に置いて行ったけど、守れない人間を私の為に置いて行くとは思えず、扉を守っている彼に聞いた。
「俺は元冒険者です。色々あってオズワルド様に拾って頂きました」
「まあ、では、魔法も?」
「オズワルド様やリンクスさんほどは使えませんが多少は使えます」
「頼りになりますね」
「お任せ下さい」
ウィルも魔法が使えたなんて少し驚いた。
でも、自分が狙われているとは思ってないから私の不安はそれじゃない。
フェリシア様がこんなことになってしまった理由だ。私達が時間を変えてしまった罪悪感があるのだ。
オズワルド様は、きっと私が考えていることはわかっているのだ。
だから、神経を研ぎ澄ましているのだと思う。
そして、何事もなく時間は過ぎてオズワルド様が戻ってらした。
魔力を回復する魔法薬は凄く貴重で高い。
それでもフェリシア様には惜しみ無く出される。
そして、フェリシア様の兄上様のフェルト様がいらした。
フェルト様は30歳過ぎの方で、シャレイド公爵家の次期後継者だ。
彼は魔法騎士団の団長だから、そのまま知らせを受けて来たのだろう。
魔法騎士団の隊服のままだったから。
「フェリシア、父上も今こちらに向かっている。……一体いつからこんなことに……」
「兄上、リディアが異変に気付いて下さったのです」
フェルト様がフェリシア様の視線の先にいる私に振り向き、私は挨拶をした。
「初めまして、リディア・ウォードです」
「リディア様、妹の異変に気付いて下さりありがとうございます。俺はフェルト・シャレイドです」
「どうぞリディアと呼び捨てにして下さい」
フェルト様は胸に片手を当て私に一礼した。
「それに、私は何もしていません。ただオズワルド様にご相談しただけです。オズワルド様のおかげで異変に気付きました。どうぞオズワルド様に……」
「オズワルドに?」
「フェルト様、リディアは俺の婚約者です」
「そうだったか。オズワルド、助かった。感謝する」
オズワルド様とは以前からの顔見知りなのだろう。強張っていた表情が和らぎ、するりと礼を交わしていた。
「リディア、俺達は一度部屋に帰ろう。ここにいてもできることはない」
「はい。わかりました」
オズワルド様に連れられて部屋に帰ると、彼はすぐに従者のウィルとマリオンを呼んだ。
「ウィル、リンクスに連絡をしに行くからその間、リディアの部屋を守れ。俺が帰ってくるまで誰も入れるな」
「はい!」
「オズワルド様、リンクスに何のご用ですか?」
「邸にある魔力回復の魔法薬を届けさせる。緊急連絡用の魔水晶を使うからすぐに連絡がつく。リディアは部屋にいろ」
「オズワルド様……」
オズワルド様が部屋にいなくなると何だか不安になる。つい、心細くてオズワルド様の服の裾を握ってしまった。
その手に添えるように彼の手が重なる。
「問題が起きたのはフェリシア様だ。リディアじゃない。ウィルを置いて行くのは俺が心配なだけだ」
私の不安を見透かしているように言われた。
「はい。気をつけて下さい」
「待っててくれ」
オズワルド様が部屋から出るとマリオンが、「すぐに戻りますよ」と優しく励ましてくれる。
「ウィルは護衛が出来るの? もしかしてウィルも魔法を?」
オズワルド様はウィルを私に置いて行ったけど、守れない人間を私の為に置いて行くとは思えず、扉を守っている彼に聞いた。
「俺は元冒険者です。色々あってオズワルド様に拾って頂きました」
「まあ、では、魔法も?」
「オズワルド様やリンクスさんほどは使えませんが多少は使えます」
「頼りになりますね」
「お任せ下さい」
ウィルも魔法が使えたなんて少し驚いた。
でも、自分が狙われているとは思ってないから私の不安はそれじゃない。
フェリシア様がこんなことになってしまった理由だ。私達が時間を変えてしまった罪悪感があるのだ。
オズワルド様は、きっと私が考えていることはわかっているのだ。
だから、神経を研ぎ澄ましているのだと思う。
そして、何事もなく時間は過ぎてオズワルド様が戻ってらした。