時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
第八十一話 闇に包まれる 2
間に合わなかった━━。
リディアが転移魔法でどこか飛ばされた。
ウィルは壁にもたれ意識がない。
アレクはフェリシア様に駆け寄り保護している。
フェリシア様の魔力を抑える薬を使ったのは、魔法を効きやすくする為かと悟った。
彼女は、シャレイド公爵家の一員だから魔法が効きにくかったはずだ。
抵抗されては困ると思ったのだろう。
それに、エルサが魔法使いとは誰も知らなかった。
だが、そんなことはもうどうでもいい。
沸き立つ黒い感情が止まらず、それに呼応するように魔力を解放した。
「リディアをどこへやった」
魔法騎士団がエルサを捕縛しようとするが、彼女は抵抗している。
だが、どれもこれも邪魔。
「離れろ。その女には聞くことがある」
一気に足元から闇が広がり、魔法騎士団の前に闇で壁を作り近づけないようにした。
闇に弾かれる者もいた。
そして、俺の足元からの闇が溢れ触手のように伸ばしエルサの首を捕らえた。
エルサは、風を刃のように飛ばすが痛みなど気にもならなかった。
「リディアをどこへやった」
「……っ知らないわ! リディアは勝手に飛び込んで来たのよ!」
首を掴まれ苦しそうなエルサを見て、レオン様が止めようとしてくる。
その姿が、腹立たしいとさえ思える。
「オズワルド! 今、エルサを尋問するからっ……」
「黙れ。……一度は見逃したんだぞ。一度は……二度目はない!」
冷ややかな感情のない目で言う。
一度ならず二度までリディアを傷つけるレオン様はもう邪魔者でしかない。
リディアが消えた今、抑えられない感情が溢れ、その感情は剥き出しでレオン様に向かった。
足元の闇の触手をもう一本伸ばし、レオン様をそのまま壁に叩きつけた。
レオン様の悲鳴と共にアレクが止めてくる。
「オズ! 止めろ! ヒース、オズを止めるんだ!」
「オズ! リディアさんはすぐに探し出す! レオン様を離せ!」
レオン様を叩きつけていた触手を、ヒースが大地の魔法で壁を作り立ち切るが見逃すつもりはない。
「ヒース! レオンを逃がせ!」
複雑な表情でヒースは、レオン様の前に大地の壁を作り必死で立ちはだかり守っている。
何故こいつの為にヒースが守るのか。
こいつには、ヒースが守る価値はない。
「オズ、止めろ。アレク様の宮を沈めるつもりか」
「……リディアがいない。そいつは邪魔だ」
「リディアさんは、すぐに探し出す」
「そいつは自分のことしか考えてない。一度でもリディアに尽くしたか。リディアに愛されたいのに、自分から示したか。何もしないのにリディアが当然のように好きになると思ったのか。こいつはダメだ。エルサにも誠実に向かい合ったのか。エルサを知ろうとしていたらこんなことにはならなかったはずだ」
「……それでもアレク様の弟だ」
……ヒースはこいつを必ず守るだろう。
そう思うほどヒースの気迫を感じた。
ヒースからを顔を背け、闇の触手にくるまれて転がっているエルサに近づく。
「リディアをどこへやった」
「知らないっ!」
「なら闇に飲まれてろ!」
「キャア━━ッ!」
エルサを闇に包み込み、何度聞いてもエルサは知らないとリディアの居場所を吐かない。
悲鳴さえも耳障りだった。
闇に包み込まれると死霊も寄って来る。並みの神経では耐えられない。
だが、廃人になろうが知ったことではない。
この一角も段々闇に飲まれ死霊が寄り始めていた。
フェリシア様の悲鳴も聞こえる。
だがリディアの声は聞こえない。
聞きたい声が聞こえない虚しさがまた押し寄せてきた。
その時に、闇で作り上げた壁を打ち破ったのはフェルト様だった。
「オズワルド!? 何をしている!?」
「フェルト! レオンを逃がせ!」
「逃がす気はない」
「止めてくれ! レオンは弟だ」
「リディアが悲しむわ!」
「そのリディアがいない」
アレクもフェリシア様も必死で止めようとするが怒りは収まらない。
「……っ! フェルト! すぐにエルサを尋問しろ! 手荒にしても構わん! 転移魔法の使える者もすぐに連れて来い!」
アレクは、フェリシア様を抱えレオン様を庇うように立ち叫んだ。
「っ、すぐにエルサを尋問しまっ……」
レオン様が口を開くと、言い切る前にアレクが殴りつける。
「黙れ! 何故こんなになるまで気付かなかった!? リディアをどこへやったんだ!」
「し、知りません! 私は……っ何も…! 」
「ふざけるな! 知らんではすまないぞ!」
アレクは俺の怒りを代わりにぶつけるようにレオン様を殴り責めていると、闇に包まれ床に苦しみ転がっているエルサがやっと吐き始めた。
「王宮の……外に……飛ばし……た……だけ……」
その言葉にすぐに王都周辺まで捜索を始めようとした時、リディアの手掛かりの知らせがやって来た。
リディアが転移魔法でどこか飛ばされた。
ウィルは壁にもたれ意識がない。
アレクはフェリシア様に駆け寄り保護している。
フェリシア様の魔力を抑える薬を使ったのは、魔法を効きやすくする為かと悟った。
彼女は、シャレイド公爵家の一員だから魔法が効きにくかったはずだ。
抵抗されては困ると思ったのだろう。
それに、エルサが魔法使いとは誰も知らなかった。
だが、そんなことはもうどうでもいい。
沸き立つ黒い感情が止まらず、それに呼応するように魔力を解放した。
「リディアをどこへやった」
魔法騎士団がエルサを捕縛しようとするが、彼女は抵抗している。
だが、どれもこれも邪魔。
「離れろ。その女には聞くことがある」
一気に足元から闇が広がり、魔法騎士団の前に闇で壁を作り近づけないようにした。
闇に弾かれる者もいた。
そして、俺の足元からの闇が溢れ触手のように伸ばしエルサの首を捕らえた。
エルサは、風を刃のように飛ばすが痛みなど気にもならなかった。
「リディアをどこへやった」
「……っ知らないわ! リディアは勝手に飛び込んで来たのよ!」
首を掴まれ苦しそうなエルサを見て、レオン様が止めようとしてくる。
その姿が、腹立たしいとさえ思える。
「オズワルド! 今、エルサを尋問するからっ……」
「黙れ。……一度は見逃したんだぞ。一度は……二度目はない!」
冷ややかな感情のない目で言う。
一度ならず二度までリディアを傷つけるレオン様はもう邪魔者でしかない。
リディアが消えた今、抑えられない感情が溢れ、その感情は剥き出しでレオン様に向かった。
足元の闇の触手をもう一本伸ばし、レオン様をそのまま壁に叩きつけた。
レオン様の悲鳴と共にアレクが止めてくる。
「オズ! 止めろ! ヒース、オズを止めるんだ!」
「オズ! リディアさんはすぐに探し出す! レオン様を離せ!」
レオン様を叩きつけていた触手を、ヒースが大地の魔法で壁を作り立ち切るが見逃すつもりはない。
「ヒース! レオンを逃がせ!」
複雑な表情でヒースは、レオン様の前に大地の壁を作り必死で立ちはだかり守っている。
何故こいつの為にヒースが守るのか。
こいつには、ヒースが守る価値はない。
「オズ、止めろ。アレク様の宮を沈めるつもりか」
「……リディアがいない。そいつは邪魔だ」
「リディアさんは、すぐに探し出す」
「そいつは自分のことしか考えてない。一度でもリディアに尽くしたか。リディアに愛されたいのに、自分から示したか。何もしないのにリディアが当然のように好きになると思ったのか。こいつはダメだ。エルサにも誠実に向かい合ったのか。エルサを知ろうとしていたらこんなことにはならなかったはずだ」
「……それでもアレク様の弟だ」
……ヒースはこいつを必ず守るだろう。
そう思うほどヒースの気迫を感じた。
ヒースからを顔を背け、闇の触手にくるまれて転がっているエルサに近づく。
「リディアをどこへやった」
「知らないっ!」
「なら闇に飲まれてろ!」
「キャア━━ッ!」
エルサを闇に包み込み、何度聞いてもエルサは知らないとリディアの居場所を吐かない。
悲鳴さえも耳障りだった。
闇に包み込まれると死霊も寄って来る。並みの神経では耐えられない。
だが、廃人になろうが知ったことではない。
この一角も段々闇に飲まれ死霊が寄り始めていた。
フェリシア様の悲鳴も聞こえる。
だがリディアの声は聞こえない。
聞きたい声が聞こえない虚しさがまた押し寄せてきた。
その時に、闇で作り上げた壁を打ち破ったのはフェルト様だった。
「オズワルド!? 何をしている!?」
「フェルト! レオンを逃がせ!」
「逃がす気はない」
「止めてくれ! レオンは弟だ」
「リディアが悲しむわ!」
「そのリディアがいない」
アレクもフェリシア様も必死で止めようとするが怒りは収まらない。
「……っ! フェルト! すぐにエルサを尋問しろ! 手荒にしても構わん! 転移魔法の使える者もすぐに連れて来い!」
アレクは、フェリシア様を抱えレオン様を庇うように立ち叫んだ。
「っ、すぐにエルサを尋問しまっ……」
レオン様が口を開くと、言い切る前にアレクが殴りつける。
「黙れ! 何故こんなになるまで気付かなかった!? リディアをどこへやったんだ!」
「し、知りません! 私は……っ何も…! 」
「ふざけるな! 知らんではすまないぞ!」
アレクは俺の怒りを代わりにぶつけるようにレオン様を殴り責めていると、闇に包まれ床に苦しみ転がっているエルサがやっと吐き始めた。
「王宮の……外に……飛ばし……た……だけ……」
その言葉にすぐに王都周辺まで捜索を始めようとした時、リディアの手掛かりの知らせがやって来た。