時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。
リディアは冷たいままだ。
だが生きている。
雪の中にリディアをこれ以上さらす訳にはいかない。
邸に帰る暇はなく、鉱山の休憩用の山小屋へと向かうためにリディアを抱き抱え、山小屋へと急いだ。
山小屋には暖炉に簡易ベッドもあり、リディアをベッドに降ろすと魔法ですぐに暖炉に火をつけた。
ベッドに横たわるリディアは冷たいまま。
刻の精霊が時間を遅くしていたおかげでリディアは生きているだろうけど、暖めなければ時間だけ遅くしても意味はない。
「ベル、邸に帰り雪が止めば迎えに来いと伝えてくれ」
ベルは吹雪の中でも飛んで行くから、この雪の中でも難なく邸に戻れる。そのまま、ベルは吹雪の中あっという間にいなくなった。
ベッドサイドに座り、横たわるリディアの冷たい顔に両手を添え、額が当たるほど顔を近づけた。
「……リディア、目を覚ましてくれ……」
まるで懇願するように言った。胸がえぐられるほど痛い。
このままいなくならないでくれと……。
それに応えるようにリディアの瞼がうっすらと開く。
まるで、止まった時間が動き出したようだった。
「リディア……」
「オズワルド様……?」
「良かった……」と言いながら噛み締めるように冷たいリディアを抱きしめた。
「もう大丈夫だ……」
「会いたかったです……」
「俺もだ」
リディアは寒過ぎるせいか、表情はトロンとしている。
それでも、彼女は弱々しい手を伸ばして抱きついてきていた。
「……このまま会えなかったら、一度くらいオズワルド様としておけばと思っていました。そしたら、私が死んだ後に他の女とすればリディアの方が良かったと、あの世でほくそ笑んでやろうと思ってました。ふふふ……」
「お前は何を言っとるんだ、何を」
こいつは、生と死の狭間で何を考えとるんだ、何を。
俺がキレている時にそんな下らんことを考えとったのか!
「オズワルド様……寒いのです……」
「服が雪で濡れているからだ。……脱がすぞ、今暖めてやる」
「はい……暖めて下さい……」
ベッドの上で、俺にもたれるようにしがみついているリディアの服を脱がすと、彼女の肌が露になった。
白い肌は冷たいまま。
「……オズワルド様……ご無体です……」
「 黙 れ 」
何を考えとるんだこいつは。どうもおかしい。低体温でおかしいんじゃないか。
リディアを抱いたまま毛布にくるんでやると、彼女は背中に手を回し抱きついてきた。
「オズワルド様……大好きですよ」
「俺もお前が好きだ」
「……ストーカーですか……?」
「やかましい!」
誰がストーカーだ!
そう言ってリディアは、瞼をまた閉じた。
わけのわからんことを言って眠りやがって!
どれだけ心配したと思っているんだ!
大体普段俺をどんな目で見ているんだ!
呆れながらもどこかホッとすると、服を脱がせたリディアの腰の黒い痣のような痕が目に入る。
……やはりあった。時間が戻る前の呪いは完了していたのだ。
リディアの綺麗な肌に傷をつけられた気分で、また怒りが沸騰しそうだった。
しかし、痣は薄くなっている気がする。
それは段々とボヤけるように消えていった。
それを見ていると、リディアは生きていると実感した。
時間が戻っても似たようなことが起こる。
そして実際、似たようなことが起こった。
リディアは今回、死に近付いていたのだ。
だが、アリシアのことも含め呪いと死から回避したのだ。
まだ半年は過ぎてないけど、あの半年間に起こったことと似た現象が終わったと思った。
もう狙われることも死に近付くこともない。
リディアは今、俺の腕の中で生きている。
必ず助かると確信した。
今眠っているのは、もう時間が戻った副作用がなくなったからだろう。
寒くてぐったりしてるせいもあるが……。
そのまま、リディアと肌を合わせ包み込むように抱きしめていた。
だが生きている。
雪の中にリディアをこれ以上さらす訳にはいかない。
邸に帰る暇はなく、鉱山の休憩用の山小屋へと向かうためにリディアを抱き抱え、山小屋へと急いだ。
山小屋には暖炉に簡易ベッドもあり、リディアをベッドに降ろすと魔法ですぐに暖炉に火をつけた。
ベッドに横たわるリディアは冷たいまま。
刻の精霊が時間を遅くしていたおかげでリディアは生きているだろうけど、暖めなければ時間だけ遅くしても意味はない。
「ベル、邸に帰り雪が止めば迎えに来いと伝えてくれ」
ベルは吹雪の中でも飛んで行くから、この雪の中でも難なく邸に戻れる。そのまま、ベルは吹雪の中あっという間にいなくなった。
ベッドサイドに座り、横たわるリディアの冷たい顔に両手を添え、額が当たるほど顔を近づけた。
「……リディア、目を覚ましてくれ……」
まるで懇願するように言った。胸がえぐられるほど痛い。
このままいなくならないでくれと……。
それに応えるようにリディアの瞼がうっすらと開く。
まるで、止まった時間が動き出したようだった。
「リディア……」
「オズワルド様……?」
「良かった……」と言いながら噛み締めるように冷たいリディアを抱きしめた。
「もう大丈夫だ……」
「会いたかったです……」
「俺もだ」
リディアは寒過ぎるせいか、表情はトロンとしている。
それでも、彼女は弱々しい手を伸ばして抱きついてきていた。
「……このまま会えなかったら、一度くらいオズワルド様としておけばと思っていました。そしたら、私が死んだ後に他の女とすればリディアの方が良かったと、あの世でほくそ笑んでやろうと思ってました。ふふふ……」
「お前は何を言っとるんだ、何を」
こいつは、生と死の狭間で何を考えとるんだ、何を。
俺がキレている時にそんな下らんことを考えとったのか!
「オズワルド様……寒いのです……」
「服が雪で濡れているからだ。……脱がすぞ、今暖めてやる」
「はい……暖めて下さい……」
ベッドの上で、俺にもたれるようにしがみついているリディアの服を脱がすと、彼女の肌が露になった。
白い肌は冷たいまま。
「……オズワルド様……ご無体です……」
「 黙 れ 」
何を考えとるんだこいつは。どうもおかしい。低体温でおかしいんじゃないか。
リディアを抱いたまま毛布にくるんでやると、彼女は背中に手を回し抱きついてきた。
「オズワルド様……大好きですよ」
「俺もお前が好きだ」
「……ストーカーですか……?」
「やかましい!」
誰がストーカーだ!
そう言ってリディアは、瞼をまた閉じた。
わけのわからんことを言って眠りやがって!
どれだけ心配したと思っているんだ!
大体普段俺をどんな目で見ているんだ!
呆れながらもどこかホッとすると、服を脱がせたリディアの腰の黒い痣のような痕が目に入る。
……やはりあった。時間が戻る前の呪いは完了していたのだ。
リディアの綺麗な肌に傷をつけられた気分で、また怒りが沸騰しそうだった。
しかし、痣は薄くなっている気がする。
それは段々とボヤけるように消えていった。
それを見ていると、リディアは生きていると実感した。
時間が戻っても似たようなことが起こる。
そして実際、似たようなことが起こった。
リディアは今回、死に近付いていたのだ。
だが、アリシアのことも含め呪いと死から回避したのだ。
まだ半年は過ぎてないけど、あの半年間に起こったことと似た現象が終わったと思った。
もう狙われることも死に近付くこともない。
リディアは今、俺の腕の中で生きている。
必ず助かると確信した。
今眠っているのは、もう時間が戻った副作用がなくなったからだろう。
寒くてぐったりしてるせいもあるが……。
そのまま、リディアと肌を合わせ包み込むように抱きしめていた。