とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「平均寿命から由紀の年齢を引いて、二ヶ月が残りの人生のうちのどれくらいか、って計算してみた」

「へえ……」

ちょっと感心して頷いてしまった。

わたしみたいな人間が平均寿命まで生きるとは思えない。
だけど、目安として。
目安として、0.2パー。

ごくわずかな時間。

「たった0.2パーだよ。いいじゃん、世話になっとけよ。
邑木さんなら、貢いでやったのに! とかケツの穴ちっちえことも言わなさそうだし」

「康くんの三代目の彼氏だっけ」

「そうそう。自分から勝手にいろいろ貢いできたくせに、別れようって言ったら、お前に使ってやった金返せ! いくら使ってやったと思ってんだよ! って、なんなんだよ。だっせえ」

「康くんが別れようって切り出したのって、相手の二股が原因だっけ」

「違う。五股」

五股も出来るのは、もはやある種の才能のような気がする。
五人とメッセージのやり取りをし、五人と会ってはそれぞれを愉しませ、五人から愛情を注がれるなんて、わたしには出来る気がしない。
その才能を違う方向に活かせばいいのに。
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