とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「由紀ちゃん、もし酔ったなら水あるよ。
そこのダッシュボードに小さいサイズだけどペットボトルが入ってるから、よかったら飲んで。
すっきりしたかったら、ミントのタブレットなんかも入ってたと思う」
見透かされたようで悔しかったけれど、酔いに抗えずにダッシュボードを開けた。
ペットボトルを取り出すと、あ、と邑木さんが漏らした。
「どうしたんですか」
「そこに入ってる、小さい紙のバッグ出して」
わたしは言われたとおりに小さな紙バッグをダッシュボードから取り出した。
黒い紙バッグには金色のロゴがプリントされていた。
松井由香利が新人研修の休み時間に、彼氏に買ってもらいたいけど、あたしの彼氏の稼ぎじゃ無理無理。貢いでくれる人とかどっかから現れないかなあ、と言っていたブランドのロゴだ。
「開けて」
「え、いまですか?」
「いま」
紙バッグを開け、中からリボンのついた長方形の箱を取り出した。
指紋をつけてしまわないよう、指の腹で箱の四隅をそっと支える。
「それ、由紀ちゃんに」
「……え?」
「プレゼント。でも安心して。指輪みたいな重いものじゃないし、高価なものでもないから」
そこのダッシュボードに小さいサイズだけどペットボトルが入ってるから、よかったら飲んで。
すっきりしたかったら、ミントのタブレットなんかも入ってたと思う」
見透かされたようで悔しかったけれど、酔いに抗えずにダッシュボードを開けた。
ペットボトルを取り出すと、あ、と邑木さんが漏らした。
「どうしたんですか」
「そこに入ってる、小さい紙のバッグ出して」
わたしは言われたとおりに小さな紙バッグをダッシュボードから取り出した。
黒い紙バッグには金色のロゴがプリントされていた。
松井由香利が新人研修の休み時間に、彼氏に買ってもらいたいけど、あたしの彼氏の稼ぎじゃ無理無理。貢いでくれる人とかどっかから現れないかなあ、と言っていたブランドのロゴだ。
「開けて」
「え、いまですか?」
「いま」
紙バッグを開け、中からリボンのついた長方形の箱を取り出した。
指紋をつけてしまわないよう、指の腹で箱の四隅をそっと支える。
「それ、由紀ちゃんに」
「……え?」
「プレゼント。でも安心して。指輪みたいな重いものじゃないし、高価なものでもないから」