とことわのその ― 獣と絡まり蔦が這い ―【加筆修正版更新中】
「だいたいさあ、昨日の喧嘩、ぜんぶ由紀が悪いじゃん。邑木さんなにも悪くないじゃん。かっわいそう」
「ちょっと!」
ぺらぺらとしゃべりだす康くんを止めて波多野さんの方を見ると、波多野さんは申し訳なさそうにした。
「ごめんね、由紀ちゃん。もう康くんから事情は聞いて、僕も由紀ちゃんと邑木さんのことは知ってるんだ」
「ちょっと康くん?」
「いいじゃん、しんちゃんなら。
だいたい、由紀の家族に言うなって言ったけど、しんちゃんに言うなとは言ってないじゃん。約束は破ってませーん」
康くんは小学生のように言いながら黄金色の玉子焼きをテーブルに並べた。
ご飯にお味噌汁に玉子焼きに佃煮。
遅めの朝食は、ほっとする味だった。
「康くんの玉子焼きはいつもきれいだなあ。あ、由紀ちゃん、手届く?」
康くんは波多野さんと暮らしはじめる前、毎日玉子焼きをつくっていた。
「しんちゃんが玉子焼き好きだから、玉子焼きの達人にならないと」と必死になっていた姿は少しかわいかった。
「さっきの話だけどさ、由紀はおいしく食べて、うれしそうにプレゼント受け取って、笑顔でありがとうって言えばよかったんだよ」
玲子さんにも同じようなことを言われた。おいしく食べて、楽しめばいい、と。
わたしの頭が硬いのだろうか。
「ちょっと!」
ぺらぺらとしゃべりだす康くんを止めて波多野さんの方を見ると、波多野さんは申し訳なさそうにした。
「ごめんね、由紀ちゃん。もう康くんから事情は聞いて、僕も由紀ちゃんと邑木さんのことは知ってるんだ」
「ちょっと康くん?」
「いいじゃん、しんちゃんなら。
だいたい、由紀の家族に言うなって言ったけど、しんちゃんに言うなとは言ってないじゃん。約束は破ってませーん」
康くんは小学生のように言いながら黄金色の玉子焼きをテーブルに並べた。
ご飯にお味噌汁に玉子焼きに佃煮。
遅めの朝食は、ほっとする味だった。
「康くんの玉子焼きはいつもきれいだなあ。あ、由紀ちゃん、手届く?」
康くんは波多野さんと暮らしはじめる前、毎日玉子焼きをつくっていた。
「しんちゃんが玉子焼き好きだから、玉子焼きの達人にならないと」と必死になっていた姿は少しかわいかった。
「さっきの話だけどさ、由紀はおいしく食べて、うれしそうにプレゼント受け取って、笑顔でありがとうって言えばよかったんだよ」
玲子さんにも同じようなことを言われた。おいしく食べて、楽しめばいい、と。
わたしの頭が硬いのだろうか。