好きになっちゃ、だめでしたか?

告白される。

「留衣ー! 今日から高校生だね私たち」

 今までとは違う、まるで建てたばかりのような真新しい建物は、私たちが今日から通う学校だった。

 朝から、入学を祝ってくれるような青い空に光っている太陽。

 息を吸えば、ちょうどいい温度の風が体の中に入ってくる。

 だけど。
 
 変わらないものもある。

 例えば、友人。3年のときから同じクラスで親友と呼べるほどに仲良くなった一華。

 無事に同じ高校に入学して、なんと!

 さっきクラスの表を確認したら同じクラスだった。

 進学校で勉強に厳しいと聞いていたけれど、一華と一緒ならなんとかやっていけそうだと思う。

 中靴に履き替えて、知らない顔ばかりの廊下を2人で歩く。

 ときどき、中学の同級生がすれ違う。

「2人とも相変わらず仲良いね」

「まあね、しかも同じクラスなの」

「運命じゃん」

 運命、なんて言葉を言い放って通り過ぎていく。

 新しい校舎の、新しい空気。

 張り詰められていて、息苦しかったらどうしようかと思っていたけれど、深呼吸をしたくなるほど軽い空気に心はほっと安心する。

「とりあえずあれだね。一か月後のテスト頑張らなきゃだね」

「ああ、うん、そうだった」

 流石進学校、と教室に向かいながら空を見て思った。
< 1 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop