好きになっちゃ、だめでしたか?
 蒼はわたしたちといることに慣れている。

 もともと、蒼と一華は中学の1,2年と同じクラスで顔見知りではあった。

 わたしと蒼は所謂幼馴染で、小学校からずっと一緒だった。

 そして高校もまた一緒。またまたなんと、クラスも一緒と言う腐れ縁だった。

「つうかさ」

 蒼はランチプレートのコロッケを食べる。
 
 飲み込んでから、話の続きをし始める。

「あの、なんだっけ。神山とか言う奴。自己紹介のときお前のことずっと見てたよな?」

 蒼の鋭い視線がわたしを捉えている。

「あ、えっと、なんか、ちょっと見られてたような」

「ええ、そうだっけ? っていうか、よく大野分かったね」

「いや、それは、なんか視線が変っつうか」

「で、でも。多分、知り合いに似てるとかそういうのじゃないかな? ほら、こっちに越してきて心細い感じだったし?」

 あのときの視線を思い出すと、顔に血がのぼるのが分かる。

 すごく熱くて、太い視線。

 自分の全てを呑み込まれそうな瞳。

「もしかして、惚れた?」

 一華はにやついた口元でスープを飲む。

「ま、まさか。確かにかっこいいけど。わたしは外見だけで惚れたりしないから」

「へえ」

 と言ったのは、蒼だった。
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