【最恐ホラー】憐の難破船(あいのなんぱせん)
第6話
話は、事件の翌日の午後のことであった。
場所は、陽介の家の居間にて…
家の居間には、陽介とりつよの結婚の仲人としゅうすけの高校再入学のお手伝いをしたヒカミさんの夫婦とりつよの3人がいた。
3人は、今後どのようにして生きて行くのかを話し合った。
しゅうすけが極悪非道のやくざ組織のナンバーツーの男の愛人の女をレイプして殺した事件が原因で家に帰れなくなった…
その上に、学校に居場所をなくして行方不明になったので、ケーサツに捜索願いを出すしかない…
話し合いは、進むどころか双方がだまりこんだのでできなくなった。
そんな中であった。
奈美子とみのるとあやめが使っている勉強部屋にみのると同じクラスの女の子が遊びに来ていた。
この時、部屋の入口のドアにカギがかけられていた。
部屋の中にて…
みのるは、女の子にせつないようと言うて、女の子のひざの上で甘えていた。
女の子は、ひざの上で甘えているみのるをやさしくなぐさめていた。
「みのる…せつないのね…よしよし…」
女の子のやさしさを痛感したみのるは、女の子に抱きついてキスをした。
みのるにキスをされた女の子は、みのるの頭をやさしくなでた。
その後、どうなったかは知らないがふたりは後戻りできないレベルに至った…と思う。
時計のはりが夕方5時を過ぎても女の子は家に帰りたくない気持ちに襲われていた。
みのるもみのるで女の子のやさしさに甘えまくったので、どうしようもなくなった。
それが原因で、深刻な事件が発生した。
その頃であった。
制服姿の奈美子は急ぎ足で家へ向かっていた。
家の手前400メートルのところに来た時であった。
あやめがワーンと泣きながら奈美子のもとへかけて来た。
一体何が起こったのか…
美奈子は、大急ぎであやめのもとにかけよったあとあやめを抱きしめた。
「あやめ!!」
「ワーン!!おねーちゃーん!!」
「あやめ!!一体どうしたのよ!!」
「ワーン!!お部屋に入ることができない!!」
「え~!!どうして!?」
「おにーちゃんがドアのうちからカギをかけているので入ることができない!!」
一体、どういうことよ…
この時、奈美子は何がなんだかわけがわからなくなった。
とにかく急がなきゃ…
奈美子は、大急ぎであやめを連れて家に帰った。
奈美子があやめを連れて家に帰って来た時であった。
りつよは、奈美子の顔をみるなりにあわただしい声で奈美子に言うた。
「奈美子!!おかーさんがものすごく困っている時にどうして遅くに帰って来たのよ!!」
「おかーさん!!そんなにおらばないでよ(さけばないでよ)!!アタシはものすごくしんどいのよ!!」
「あのね!!おかーさんの方がものすごく困っているのよ!!みのるの学校のお友達が晩ごはんの時間になっても帰ろうとしないので、必死になって女の子の家に電話をしたのよ…それなのに女の子の両親が迎えに来ないから思い切り困っているのよ!!」
りつよは、ものすごくイラついた声で奈美子に言うた。
そんな時であった。
だらしない服装をしている陽介がドカドカと大きな足音を立てて上がり込んだ。
この時、陽介は桐だんすが置かれている部屋へ向かっていた。
家が非常事態におちいっている時に、ダンナは何を考えているのか…
ブチキレを起こしたりつよは、陽介に詰めよった。
「ちょっとあんた!!家が非常事態におちいっている時になにしてんのよ!?」
「やかましい!!オレは今、危機的な状況におちいっているんだぞ!!」
「あんたの危機的な状況のことなんかどーでもいいわよ!!そんなことよりもみのるの学校のお友達を力づくで追い出してよ!!」
逆ギレを起こした陽介は『それがどうかした!!』と言うた後、桐だんすの引き出しを開けて金目のものを探しまくった。
陽介は、仲間たちとカケマージャンをしていたが、大負けばかりが続いた。
どうにかして負けてしまった分を取り返さないと…
そう思っていたので、善悪の区別がつかなくなった。
りつよは、陽介に対して『キンシン期間中にカケマージャンをしていたら会社クビになるわよ!!』と言うたけど、陽介は『会社なんか棄《す》てた!!』と言い返したあとこう言うた。
りつよは、陽介に対して『われにかえってよ!!』と言うた。
「あなたわれにかえってよ!!」
「何やわれにかえれだ!!オレは、極悪非道のやくざ組織やカルト宗教の団体が経営している海運会社なんかとっくに棄《す》てた!!殺人事件を起こしたやくざの親分や教祖が経営している海運会社を棄《す》ててもなーんも困らへんわ!!」
「あなた!!」
「何やオドレ!!まだオレに言いたいことがあるんか!?」
「あなたは、せっかく就職できた会社に対して文句ばかりを言うているけれど、どうして自分の仕事にホコリが持てないのよ!!」
「自分の仕事にホコリを持てだと!!ふざけるな!!」
「あなた!!あなたがそんな気持ちでいつづけていたら、本当にキンシンを解いてくれなくなるなるのよ!!その時困るのは…」
「困らんわ!!」
「困るのよ!!」
「どういうところが困るのだ!!」
「家に収入が入らなくなるのよ!!あなたがお給料をもらえなくなったら、アタシたち家族は生活できなくなるのよ!!来年、奈美子は高校受験を控えているのよ!!奈美子が高校に入学したら学費…」
りつよの言葉にブチ切れた陽介は、桐だんすの中に入っていた奈美子とみのるとりつよの学資保険の証書を強奪した。
りつよは、ものすごい血相で怒り狂った。
「あなたやめて!!それは奈美子とみのるとあやめが高校に進学した時に必要な学資保険の証書よ!!」
「そんなもん倍にして返すから心配するな!!」
「あなた!!そんなことをしたら、奈美子は本当に高校に行けなくなるのよ!!」
「高校に行きたいのだったら、奨学金を申し込めというとけ!!」
陽介は、りつよの制止を振り切って奈美子とみのるとあやめの学資保険の証書を強奪した。
その上に、しゅうすけの学資保険の証書としゅうすけの将来のために必要な百十四銀行の預金通帳をも強奪した。
家から飛び出した陽介は、いちもくさんに質屋へ向かった。
時は、深夜11時過ぎのことであった。
ところ変わって、JR栗林駅《りつりんえき》の近くにある3階建てのテナントビルの一階にあるマージャン店にて…
陽介は、仲間たちとカケマージャンをしていた。
負けを取り返すと訣意《けつい》して勝負にいどんだが、負けてばかりいた。
一発逆転を狙いたい…
けど…
陽介は、がまんの限度を大きく超えたようだ…
この時、陽介の右となりに座っている男がニヤニヤと嗤《わら》いながら『負け分払えるんだろうな…』とつぶやいた。
陽介は、怒った声で『オラたばこ!!』と言うてたばこを求めた。
陽介は、受け取った箱の中からたばこを全部取りだしたあと、口に全部くわえた。
そして、一気に火をつけてたばこをくゆらせた。
陽介の左どなりに座っている男は、ニヤニヤと嗤《わら》いながら陽介に言うた。
「おい、そないに一気にたばこを吸ったら肺が砕けるぞ〜」
「ほっとけほっとけ。」
「今のウエニシは何を言うてもアカンアカン…」
「せやせや。」
「ウエニシのアホンダラは、7月に発生した高速船の事故…じゃなくて、殺人事件と言うた方がエエみたいや。」
「せやろの。」
「ウエニシ、部下の機関士の男にきついパワハラを加えたことが原因で、会社からキンシン処分を受けてるみたいやけど、もうアカンみたいや。」
「せやせや。」
「ウエニシのオトンがまともな人間やったら、こななことにならずに済んだのにねぇ。」
「ホンマや。」
「ウエニシのオトンは酒が入るとクルクルパーになってたねぇ〜」
「あっ、オレも知ってる。」
「ウエニシのオトンは、悪い人間ばっかりに寄って行ってたね。」
「ああ、知ってる。」
「ウエニシのオトンは、やくざの親分と一緒に園田競馬場へ行っていて、ウマしてたな~」
「そうだったな〜」
「あと、ウエニシのオトンは女のもめ事をぎょーさん起こしたねぇ〜」
「オレ知ってるッス…ウエニシのおにいの嫁はんがものすごく大きな声でよがっていたのを聞いたことがある。」
「ああ、オレも知ってるッス。」
「ウエニシのおにいの嫁はん、ものすごくデカイお乳やったねぇ。」
「ああ、知ってる。」
「ウエニシのオカンがオトンにきつい暴力をふるっていたから、オトンがおにいの嫁はんに身体を求めたんや。」
「せやせや。」
「あれじゃあ、ウエニシのおにいがかわいそうだよ。」
「ホンマや。」
「ウエニシのオトンがまともな人間じゃないのは、オトンの実家のおじいやんがくそったれだからだよ。」
「ああ、そう言えばウエニシのオトンの実家のおじいやんは重度の認知症だったね。」
「だからウエニシの家の親類は全員ダメになったのよ。」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ〜」
仲間たちは、口々に陽介の実家《いえ》の親族たちの悪口をボロクソに言うたあと大きい口をあけて嗤《わらい》まくった。
この時、陽介のイライラがさらに高まった。
そんな中であった。
陽介の右となりに座っている男が『ダイサンゲ〜ン大当たり〜』と大きな口をあけてゲラゲラと嗤《わら》いまくった。
ブチキレた陽介は、カバンの中から破壊力がより強いハンマーを取り出した後、男の頭を力を込めて殴った。
(ガツーン!!)
「グワーッ!!」
「おい、どうした!?」
「ああ、頭が砕けた…助けてくれ…助けて…」
(ドサッ…)
陽介に破壊力がより強いハンマーで頭を殴られた男は、その場に倒れた。
男の頭から、大量の血液が流れ出た。
同時に、くちもとから大量の泡が吹き出た。
同時に、大容量の失禁を起こして息たえた。
(ドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバ…ブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブク…ドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバ…)
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
店内にいたお客様たちが、より強烈な叫び声をあげた。
この後、陽介はズボンのポケットの中から出した手榴弾《てなげだん》のピンをぬいて投げた後、その場から逃げ出した。
その直後…
(ドカーン!!ドカーン!!ドカーン!!)
手榴弾《てなげだん》が大規模な爆発を起こして炎上した。
それから2分後、テナントビルが跡形もなく崩れた。
その後、周辺のテナントビルも次々と爆破された。
駅前の通りの街は、地獄絵図《じごく》と化した。
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!)
深夜11時40分頃、市役所の防災行政無線のスピーカーから強烈なブザーが鳴り響いた。
同時に、大パニックがさらに広まった。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
通りは、テナントビルにある店舗から逃げ出した人々が逃げ回っていた。
中には、火だるまになった人たちもいた。
緊急車両の到着が大きく遅れたので、さらに被害が拡大した。
事件現場から逃げ出した陽介は、家に帰ることができなくなったので、逃げ回るしかなかった。
場所は、陽介の家の居間にて…
家の居間には、陽介とりつよの結婚の仲人としゅうすけの高校再入学のお手伝いをしたヒカミさんの夫婦とりつよの3人がいた。
3人は、今後どのようにして生きて行くのかを話し合った。
しゅうすけが極悪非道のやくざ組織のナンバーツーの男の愛人の女をレイプして殺した事件が原因で家に帰れなくなった…
その上に、学校に居場所をなくして行方不明になったので、ケーサツに捜索願いを出すしかない…
話し合いは、進むどころか双方がだまりこんだのでできなくなった。
そんな中であった。
奈美子とみのるとあやめが使っている勉強部屋にみのると同じクラスの女の子が遊びに来ていた。
この時、部屋の入口のドアにカギがかけられていた。
部屋の中にて…
みのるは、女の子にせつないようと言うて、女の子のひざの上で甘えていた。
女の子は、ひざの上で甘えているみのるをやさしくなぐさめていた。
「みのる…せつないのね…よしよし…」
女の子のやさしさを痛感したみのるは、女の子に抱きついてキスをした。
みのるにキスをされた女の子は、みのるの頭をやさしくなでた。
その後、どうなったかは知らないがふたりは後戻りできないレベルに至った…と思う。
時計のはりが夕方5時を過ぎても女の子は家に帰りたくない気持ちに襲われていた。
みのるもみのるで女の子のやさしさに甘えまくったので、どうしようもなくなった。
それが原因で、深刻な事件が発生した。
その頃であった。
制服姿の奈美子は急ぎ足で家へ向かっていた。
家の手前400メートルのところに来た時であった。
あやめがワーンと泣きながら奈美子のもとへかけて来た。
一体何が起こったのか…
美奈子は、大急ぎであやめのもとにかけよったあとあやめを抱きしめた。
「あやめ!!」
「ワーン!!おねーちゃーん!!」
「あやめ!!一体どうしたのよ!!」
「ワーン!!お部屋に入ることができない!!」
「え~!!どうして!?」
「おにーちゃんがドアのうちからカギをかけているので入ることができない!!」
一体、どういうことよ…
この時、奈美子は何がなんだかわけがわからなくなった。
とにかく急がなきゃ…
奈美子は、大急ぎであやめを連れて家に帰った。
奈美子があやめを連れて家に帰って来た時であった。
りつよは、奈美子の顔をみるなりにあわただしい声で奈美子に言うた。
「奈美子!!おかーさんがものすごく困っている時にどうして遅くに帰って来たのよ!!」
「おかーさん!!そんなにおらばないでよ(さけばないでよ)!!アタシはものすごくしんどいのよ!!」
「あのね!!おかーさんの方がものすごく困っているのよ!!みのるの学校のお友達が晩ごはんの時間になっても帰ろうとしないので、必死になって女の子の家に電話をしたのよ…それなのに女の子の両親が迎えに来ないから思い切り困っているのよ!!」
りつよは、ものすごくイラついた声で奈美子に言うた。
そんな時であった。
だらしない服装をしている陽介がドカドカと大きな足音を立てて上がり込んだ。
この時、陽介は桐だんすが置かれている部屋へ向かっていた。
家が非常事態におちいっている時に、ダンナは何を考えているのか…
ブチキレを起こしたりつよは、陽介に詰めよった。
「ちょっとあんた!!家が非常事態におちいっている時になにしてんのよ!?」
「やかましい!!オレは今、危機的な状況におちいっているんだぞ!!」
「あんたの危機的な状況のことなんかどーでもいいわよ!!そんなことよりもみのるの学校のお友達を力づくで追い出してよ!!」
逆ギレを起こした陽介は『それがどうかした!!』と言うた後、桐だんすの引き出しを開けて金目のものを探しまくった。
陽介は、仲間たちとカケマージャンをしていたが、大負けばかりが続いた。
どうにかして負けてしまった分を取り返さないと…
そう思っていたので、善悪の区別がつかなくなった。
りつよは、陽介に対して『キンシン期間中にカケマージャンをしていたら会社クビになるわよ!!』と言うたけど、陽介は『会社なんか棄《す》てた!!』と言い返したあとこう言うた。
りつよは、陽介に対して『われにかえってよ!!』と言うた。
「あなたわれにかえってよ!!」
「何やわれにかえれだ!!オレは、極悪非道のやくざ組織やカルト宗教の団体が経営している海運会社なんかとっくに棄《す》てた!!殺人事件を起こしたやくざの親分や教祖が経営している海運会社を棄《す》ててもなーんも困らへんわ!!」
「あなた!!」
「何やオドレ!!まだオレに言いたいことがあるんか!?」
「あなたは、せっかく就職できた会社に対して文句ばかりを言うているけれど、どうして自分の仕事にホコリが持てないのよ!!」
「自分の仕事にホコリを持てだと!!ふざけるな!!」
「あなた!!あなたがそんな気持ちでいつづけていたら、本当にキンシンを解いてくれなくなるなるのよ!!その時困るのは…」
「困らんわ!!」
「困るのよ!!」
「どういうところが困るのだ!!」
「家に収入が入らなくなるのよ!!あなたがお給料をもらえなくなったら、アタシたち家族は生活できなくなるのよ!!来年、奈美子は高校受験を控えているのよ!!奈美子が高校に入学したら学費…」
りつよの言葉にブチ切れた陽介は、桐だんすの中に入っていた奈美子とみのるとりつよの学資保険の証書を強奪した。
りつよは、ものすごい血相で怒り狂った。
「あなたやめて!!それは奈美子とみのるとあやめが高校に進学した時に必要な学資保険の証書よ!!」
「そんなもん倍にして返すから心配するな!!」
「あなた!!そんなことをしたら、奈美子は本当に高校に行けなくなるのよ!!」
「高校に行きたいのだったら、奨学金を申し込めというとけ!!」
陽介は、りつよの制止を振り切って奈美子とみのるとあやめの学資保険の証書を強奪した。
その上に、しゅうすけの学資保険の証書としゅうすけの将来のために必要な百十四銀行の預金通帳をも強奪した。
家から飛び出した陽介は、いちもくさんに質屋へ向かった。
時は、深夜11時過ぎのことであった。
ところ変わって、JR栗林駅《りつりんえき》の近くにある3階建てのテナントビルの一階にあるマージャン店にて…
陽介は、仲間たちとカケマージャンをしていた。
負けを取り返すと訣意《けつい》して勝負にいどんだが、負けてばかりいた。
一発逆転を狙いたい…
けど…
陽介は、がまんの限度を大きく超えたようだ…
この時、陽介の右となりに座っている男がニヤニヤと嗤《わら》いながら『負け分払えるんだろうな…』とつぶやいた。
陽介は、怒った声で『オラたばこ!!』と言うてたばこを求めた。
陽介は、受け取った箱の中からたばこを全部取りだしたあと、口に全部くわえた。
そして、一気に火をつけてたばこをくゆらせた。
陽介の左どなりに座っている男は、ニヤニヤと嗤《わら》いながら陽介に言うた。
「おい、そないに一気にたばこを吸ったら肺が砕けるぞ〜」
「ほっとけほっとけ。」
「今のウエニシは何を言うてもアカンアカン…」
「せやせや。」
「ウエニシのアホンダラは、7月に発生した高速船の事故…じゃなくて、殺人事件と言うた方がエエみたいや。」
「せやろの。」
「ウエニシ、部下の機関士の男にきついパワハラを加えたことが原因で、会社からキンシン処分を受けてるみたいやけど、もうアカンみたいや。」
「せやせや。」
「ウエニシのオトンがまともな人間やったら、こななことにならずに済んだのにねぇ。」
「ホンマや。」
「ウエニシのオトンは酒が入るとクルクルパーになってたねぇ〜」
「あっ、オレも知ってる。」
「ウエニシのオトンは、悪い人間ばっかりに寄って行ってたね。」
「ああ、知ってる。」
「ウエニシのオトンは、やくざの親分と一緒に園田競馬場へ行っていて、ウマしてたな~」
「そうだったな〜」
「あと、ウエニシのオトンは女のもめ事をぎょーさん起こしたねぇ〜」
「オレ知ってるッス…ウエニシのおにいの嫁はんがものすごく大きな声でよがっていたのを聞いたことがある。」
「ああ、オレも知ってるッス。」
「ウエニシのおにいの嫁はん、ものすごくデカイお乳やったねぇ。」
「ああ、知ってる。」
「ウエニシのオカンがオトンにきつい暴力をふるっていたから、オトンがおにいの嫁はんに身体を求めたんや。」
「せやせや。」
「あれじゃあ、ウエニシのおにいがかわいそうだよ。」
「ホンマや。」
「ウエニシのオトンがまともな人間じゃないのは、オトンの実家のおじいやんがくそったれだからだよ。」
「ああ、そう言えばウエニシのオトンの実家のおじいやんは重度の認知症だったね。」
「だからウエニシの家の親類は全員ダメになったのよ。」
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ〜」
仲間たちは、口々に陽介の実家《いえ》の親族たちの悪口をボロクソに言うたあと大きい口をあけて嗤《わらい》まくった。
この時、陽介のイライラがさらに高まった。
そんな中であった。
陽介の右となりに座っている男が『ダイサンゲ〜ン大当たり〜』と大きな口をあけてゲラゲラと嗤《わら》いまくった。
ブチキレた陽介は、カバンの中から破壊力がより強いハンマーを取り出した後、男の頭を力を込めて殴った。
(ガツーン!!)
「グワーッ!!」
「おい、どうした!?」
「ああ、頭が砕けた…助けてくれ…助けて…」
(ドサッ…)
陽介に破壊力がより強いハンマーで頭を殴られた男は、その場に倒れた。
男の頭から、大量の血液が流れ出た。
同時に、くちもとから大量の泡が吹き出た。
同時に、大容量の失禁を起こして息たえた。
(ドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバ…ブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブクブク…ドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバドバ…)
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
店内にいたお客様たちが、より強烈な叫び声をあげた。
この後、陽介はズボンのポケットの中から出した手榴弾《てなげだん》のピンをぬいて投げた後、その場から逃げ出した。
その直後…
(ドカーン!!ドカーン!!ドカーン!!)
手榴弾《てなげだん》が大規模な爆発を起こして炎上した。
それから2分後、テナントビルが跡形もなく崩れた。
その後、周辺のテナントビルも次々と爆破された。
駅前の通りの街は、地獄絵図《じごく》と化した。
(ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!ブーッ!!)
深夜11時40分頃、市役所の防災行政無線のスピーカーから強烈なブザーが鳴り響いた。
同時に、大パニックがさらに広まった。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
通りは、テナントビルにある店舗から逃げ出した人々が逃げ回っていた。
中には、火だるまになった人たちもいた。
緊急車両の到着が大きく遅れたので、さらに被害が拡大した。
事件現場から逃げ出した陽介は、家に帰ることができなくなったので、逃げ回るしかなかった。